アンダー・ザ・サン  第3章 新宿~渋谷(PART3) | I am say'S'

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    第3章 新宿~渋谷(PART3)


お参りをしたあとは、原宿口の方へ。
これで2駅を歩いたことなる。
晩秋の微かな風が木々を揺らし、心地よい。

ここから渋谷に抜けるには2つのルートがあって
ひとつは代々木公園横の横断歩道をわたり、代々木体育館を右手にNHKホール方面から坂を下るルート、もうひとつは表参道を登り246を右に抜けるルート。
僕たちは後者を選んだ。
「でもまだ時間はたっぷりあるよね。せっかくだから目の前にある代々木公園に寄っていかない?」
マユは考える間もなく賛成してくれた。

代々木公園は東京オリンピックのとき、選手村に併設して作られ、当時選手たちの憩いの場として、また簡単なランニングなどのコンディション作りの場として賑わっていたことだろう。
ちょうど明治神宮に隣接していることもあり片側は大きな木々が立ち並び、緑豊かな場所である。
中央には大きな噴水もある。
端から端までは500メートルはあるだろうか、都内でも有数の広い公園だ。

かなり奥まで歩いてゆくと何やら大きな柵で囲まれた檻のようなものが見えてきた。
「ドッグランだよ」
マユから聞き慣れない言葉が飛んできた。
どうやら犬を柵の中で放して走り回って遊ばせる場所らしい。
そういえばこの公園、犬を連れて散歩する人をたくさん見かけ、何度もすれ違ったがその場所があることが大きな理由だったようだ。
数十メートル四方の柵が2つ、ひとつは大型犬用、もうひとつは中小型犬用で残念ながら犬を連れていないと中に入れないとのこと。
仕方なく僕たちは柵の外にあるベンチに腰を下ろして気持ちよさそうに犬同士追いかけっこする姿を見ていた。

すると突然僕たちの座っているベンチの隣に体長1メートル近くあるような巨大なプードル?が三匹連れられてきた。
一匹はグレー、それに白っぽいのが二匹。何しろ見たことのないような大きさに最初はに圧倒されたがよくよく見るとプードルであり、足元まできれいにトリミングされている。飼い主に時々じゃれついているけれど、獰猛さはない。むしろ小型犬のほうが賑やかなくらいだ。
まるで動物園で出会った珍獣が目の前にいる。
一匹が僕と視線が合うと僕に歩を進めてきた。
僕は軽く喉をさすってやると嬉しそうな表情をした。多分近くに飼い主がいないなら間違いなくハグして戯れていたことだろう。
「シゲルさんはホントに犬が好きなのね」
「うん、小さい頃から実家いろんな犬を飼っていたからね。秋田犬から始まってコリー犬が二匹、そしてマルチーズ。」
「私はどちらかといえば猫派かな」
「ネコっぽいところもあるよね」
「ゴロニャーン。そろそろ行こうよ。」
僕はちょっと名残惜しかったけどドッグランから出口方面に向かった。
その間に何組のワンチャン連れの人とすれ違ったことだろう。
中でも犬というよりは馬のようなスラリと長い足の背の高い犬には目を丸くした。僕が知っている犬の種類なんてたかが知れている。
新たな発見の代々木公園を抜け、原宿駅前に着いたときは3時をゆうに回っていた。
そこから僕たちは表参道を登り始めた。



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