香りの音楽会   長富彩 ピアノリサイタル | I am say'S'

I am say'S'

「香り」をテーマにいろんなエッセイと小説を掲載します

       香りの音楽会   長富彩 ピアノリサイタル
             (2010/4/6 於:和光市サンアゼリア大ホール)


桜の季節に毎年開かれる、サンアゼリアの開館記念日コンサート。
今回はamebaで知り合った長富彩さんのピアノリサイタル。
3000人は収容できるホールは一階がほぼ満席となっている。

開演時間がやってきて館を運営されている方のご挨拶のあと彼女が紹介されると赤いドレスを着た彼女が足早にピアノに向かっている。ちょっと緊張しているようだ。

椅子についてひと呼吸、まもなくラフマニノフの第一音がホール全体に響き渡る。
ラフマニノフ独特の旧ソ連を思わせる暗さと宮廷音楽のような優雅さが入り混じった世界が広がってゆく。

1音1音を大切にする長富さんの旋律には技術だけでなく心がある。作曲家のこともずいぶん研究されているようでどんな音を出したいのか理解されているように思われる。

目をつぶればそこにはベテルスブルグのような街並みだったり、荒涼としたロシアの平原だったりが次から次へと浮かんでくる。
最初の一曲だけで僕は魅了されてしまった。

チャイコフスキーの優雅な旋律も、スクリャーピンの壮大な音も、ショパンの繊細な音も、シューマンの盛り上がりあるメリハリのきいた音の流れも僕の大好きな選曲ばかりだ。

それにしてもあの華奢な体から弾き出される力強い音はどこから生まれるのだろう、時にはリリカルで繊細な音を聴くたびにそのコントラストには驚かされる。

年齢は僕に娘がいたら彼女と大差ないだろうに、奏でる1音1音は名だたるベテランにも負けないと思う。何といっても聴いていて安心する。きっと誰にも負けないくらい練習と研究を重ねているのだろう。

演奏が終わり、慣れないご挨拶はご愛嬌。
アンコールは心が高揚してくるリストのラ・カンパネラだった。ここにも彼女の並々ならぬ才能を感じる。
無料の招待コンサートなのに、これだけハイレベルなリサイタルはあまり聴いたことがない。

そして秋にはCDデビューされるとのこと。
この夜、これからも応援して、聴き続けていきたい一人となった。

心に染み渡った1音1音は僕の病んだ心を少しでも回復に向かわせてくれたと思う。
彩さん、ありがとう。

帰り道には
満開の夜桜が別れを告げ、
心にはいい音の残響…。

ブログの中の偶然の出会いが与えてくれた
至福のとき。

一期一会を与えてくれた
運命の神様に感謝。


 $I  am  say'S'     $I  am  say'S'