「私、とりあえずいっぱいお金を貯めようと思うの。」



夜になり、駅の近くの住宅街を歩きながら、私はカレに宣言しました。



「そうだね。お金は貯めておいた方が良いよ。」

「でしょ?いつかこの辺りのマンションを買おうよ。
だから、良いマンションがないか探しておいてね!」



カレはまた私が突拍子もないことを言い出したと思っているのか、ちゃんと取り合ってくれません。
私は気にせず話を続けます。



「ハザードマップを見ないと詳しいことは分からないけど、駅のこっち側よりあっち側の方が災害の影響は少なそうな気がするの。」

「それは言えてる。確かにこっち側は海に近いから水害という意味では少し危険だし、海風もきやすい。」

「でしょう?」

「うちは閑静な住宅街にあるんだけど、地下に新幹線が通ってしまってからはやっぱりうるさいんだよね。」

「え?そうなの??」

「こっちに帰ってきてから気づいたんだけどね。新幹線が通ると、コップがカタカタ揺れたりする。」




いつかカレの実家を建て直して住むということも考えていましたが、カレのこの一言で私の中でその案をこっそり抹消しました。
私達は、近辺のマンションを見ながらああでもない、こうでもないと言い合っていました。
不思議なことに、人口が減っている割には、新しいマンションがいくつも建っているようなのです。
コロナでこんな状況になり、今後の世情は全く読めません。
この辺りのマンションの価格は、今後下がっていくのでしょうか。据え置きなのでしょうか。
空き家をリノベーションして住むのも良さそうです。
カレと街を歩きながら考えていると、夢が膨らみます。



2日目の最後に入ったお店で、私も少しお酒を飲み、話さなければならないと思っていた話をしました。