テレ東の番組でインタビューした男性が、巣鴨の地蔵通り商店街の帽子店の店主で、万引きが多いということを表すのに万引き商店街という表現を使ったために、地元から反発を受けているらしい。
ネットの記事によると、この人はフランチャイズで帽子店を始めたもののお金を払えなくなり、7月に契約を解除されているとのことで、もう帽子店は営業していないようだ。
全般的にこの人が悪者になっているが、記事を読んでいてふと疑問に思った。
確かに口を滑らせたことで周囲に迷惑をかけたのは確かだろう。
商店街にとってイメージダウンが困るというのはよくわかる。
しかし、この人が万引きの被害を受けたのは確かであり、ひょっとするとその影響もあって商売に失敗したということもあるのではないか。
そういう意味では、彼はただの被害者ではないのか?
そんなことを思ったのだ。
以前、夕方の巣鴨の地蔵通り商店街を歩いていたとき、街の人の会話が聞こえてきたことがある。
その日は4の日で、縁日が出たりしてたくさんの人が来たということで、「今日は儲かったんじゃないの」なんて茶化す人に対して、「ダメダメ、ここの年寄りは金がないから、いくら人がいたってたいした商売になんないよ」なんて会話をしていた。
確かにここの縁日は150円のお好み焼きがあったりして、金銭感覚が昭和で止まっている。
そうしてみると、金がない年寄りが多いという彼の発言はあながち間違いではなかったのかもしれない。
人はいるけど、お金を使ってくれない。
金銭感覚が安いままだから、普通の値段で出しても高いと言われる。
そんなことが続いていたのかもしれない。
また万引きの話も、ネットの記事に出てくる雑貨屋さんは昔の方が多かったなどと言っているが、この帽子屋さんからすれば今しか知らない。だから昔よりマシになったなどということはわかるはずもないし、それを知ったところで彼にとってはいま万引きが多いということを否定する話とはなり得ない。
そう考えてみると、このフランチャイズで帽子屋さんをやろうとしたおじさんは、たくさんの年寄りが目の前を通り過ぎるけど金がない年寄りばかりで買ってもらえず、むしろ万引きされて損害が蓄積し、結局商売がうまくいかなくて店をつぶすようになってしまったということなのかもしれない。
そんなタイミングでテレビのインタビューを受けて、ふとグチを言ってしまったのであるとしたら、なんだか少しくらい仕方がないのかなという気がしてくる。
