生き方、感じ方に魅かれて | Gallery"TEKITOH"

生き方、感じ方に魅かれて

漫画、小説、映像の台詞で一番インパクトがあったセリフ ブログネタ:漫画、小説、映像の台詞で一番インパクトがあったセリフ 参加中


 ま、色々あるけどな。
ただ最近の創作物でのセリフってのは、どれも
キャッチフレーズ的な耳当りのよさを求めたモノ
ばかりで、上っ面のインパクトは多少あっても
そう残るモノでもないよな…と個人的には思う。

 昨年の東モなんかでも、某メーカーのブースで
そんなネガティブキャンペーン気取りのキャッチが
そこら中の天井近くに張り巡らされていて
まぁ辟易したな。

 そんなご時世でチョイスしてみるのは
その生き方というかか人生観というかが如実に
浮き出ている作品から。


 それはアニメ『あしたのジョー2』(1980年~)。
梶原一騎(高森朝雄)、ちばてつや両名の個性に加え
出崎統という、また異質な作家性を持った個性が
混ざり合ったお陰で、個人的に忘れ得ない作品と
なったが、その中でも#44『葉子…その愛』は、その色が
最も濃く出た傑作。
 この回だけでもブログネタ一本埋める事はできるのだが
その中から、世界戦を明日に控えた夜の、ジョーと段平の
会話シーンが秀逸。

 嫌いな孤児院を転々としながらも、年二回の遠足だけは
楽しみだった…と語るジョー。
それを聞いたおっつぁんは「普通の子供と同じ感覚が
あったンだな」と安堵するが、ジョーの場合は少しだけ
違っていた。

遠足を利用して、孤児院から脱走する目的があったのだ。
それに因んだ以下の台詞が、実に魅かれる。

「遠足の列から離れて、俺は一目散に走る。
 そして大概……山が見えてよ。
 ちょっと遠くにな…見えるんだ。
 だから俺は、その山に向かって走るんだ。」


童謡『小さい秋見つけた』のアレンジ曲をバックに
幼いジョーの脱走する姿が描かれる。

「その山を越えちまえば…きっとよ、
 きっと凄ェ所へ出そうな、そんな気がしてな。
 …走ったもんだ。全力でな。

 …けどよ、何度逃げ出しても、何度山を越えても…
 凄ェ所には行けなかったよ。」


 段平のおっつぁんは、その山をホセ・メンドーサに喩え
それを超えれば『栄光』なるゴールが待っている…と
告げるが、ジョー自身のゴールは其処にはない。
確かに山の麓までは辿り着いたが、登りきった所が
終着点ではない、と。

 この物語が『世界チャンピオンを目指すボクサーの話』
でない事は、既に#3の段階で示唆されているし
#34でのジョー自身の台詞:
「俺はキングになれなくてもいいんだよ…
 ただキングと闘えさえすればな…。」
という一連でも明らか。

『Life is a journey.(人生は旅)』であり
大抵の人はそのゴールが金なりモノなり名声なり…と
物質的な充足をその終点と定めるが、この作品の場合は
「これ以上ない心の充足」。
その渇望ぶりがいいカタチで表現された台詞、と思う。

 ちなみに、本作の劇場版が公開される頃
某アニメ誌のインタビューに梶原御大がこう答えていた。
「ジョーは『内心の声』てヤツがハッキリわかっていて
ああいう行動をとっていったわけじゃなくって、
もともと青春は、その中にいる若者にとって
自分が何を考え、何を感じているのか一切判っていない
ところから始まるものなんだ、とね。」

 だからこの作品の台詞ってのは、耳当りがよくなるように
キャッチフレーズ的に整理されたモノではない。
漠然と考え、感じた事を一つ一つ『言葉』という形にして
一つずつ吐き出したようなモノが(演出上の都合も
あっただろうけど)非常に多い。

 言葉が先にあって、それに従い行動するのではなく
行動してきた結果としての言葉や台詞がある、
そういったところに魅かれたんだろうな。


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 やっと当ったと思ったら、54回転スルーされましたよ、えぇ。







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