情報が先か ハナシが先か | Gallery"TEKITOH"

情報が先か ハナシが先か

 今回ちょっと問題ありげな内容になりそうだが↓コレ。

不景気を実感すること、教えて! ブログネタ:不景気を実感すること、教えて! 参加中

 まず自分の現状は置いといて(笑)。

 上記のお題を目にした時、一昨日流れたこのニュースを思い出した。
この作者さん、デビュー時から読んでるな。
最初の読切はパワーあって面白かったんだけど『海猿』が始まってからは
「あらら、去勢されちゃったな」という感じなのはともかく。

 で、それに関連したニュースでは「月の原稿料が70万円。スタッフ6人抱えて
連載二本でコレではカツカツ」て事も。
フツーのサラリーマンとかの身だと「十分貰ってるじゃん」という感じだろうけど
ちょっと待った。
給料的なモノとして考えるからいけないのであって、実はそのスタッフ込みで
「小さな商店」みたいに考えないと、ちゃんと認識できませんな。

 初歩的な単純計算で考えてみる。
あの世界のアシスタント代が現在どんなだか不明だけど、たぶん一日フルで
ピン(=10K)と仮定して、だ。
スタッフ総動員で仮に三日間で連載一本仕上げるとしても6x3=180K。
それが一ヶ月(4週分)だと720K。この時点で赤字。
もう少しスケジュール詰めて、二本並行の連載を二日ずつ仕上げるにしても
更にマイナス加算されるワケ。
 実はその他にスタッフのメシ代も工面しなきゃならん上、仕事場はどうせ
都内のマンションとかだろうから、その事務所代に光熱費その他諸々…
それ考えると確かにやってられんな。

 コレで単行本の印税収入とか、ドラマ化での版権収入とかあっても
あまりアテにならない。特に後者はマーチャンダイジングが考慮できない為
期待度は低い。バンダイあたりが『海猿救援ゲーム』だの『ブラよろなりきり
セット』だのの玩具出すワケもないし(笑)。

注:ココから下、主題からズレます。

 ただねぇ、「このマンガに限らず」てコト前提に一つ言わせてもらうと
「そこまで描き込む必要あるのかよ?」
件の作者は医療マンガで、医療器具やら病院内外やらハラワタやらを
緻密に描き込む必要性もあるかもしれない。また、いい加減に描くと
他所からクレームが来る恐れもある。

 手前味噌な話題だが、確かに絵タレ仕事なんかの場合でも、正確さを
要求されるブツがあるんですわ。城とか農具とか色々。
城なんか(単なる遠景なのに)描かされる場合は「時間ねぇのにそんな細かいの
描いてられるか。ギャラ2割増しだバカヤロ」と返しているのだが
「ある程度正確に描いておかないと、視聴者からクレーム来る事がある」
という事らしい(そしてギャラは据え置き)。
あの系列はタダでさえダイエット偽造云々があった所だけに慎重なのです。

 それはさておき、何もこちとら図解やイラスト集見たさにマンガ読むワケじゃ
ないんだから、ソコまで精緻な描き込みは必要ないと思う。
実名出すと問題あるから控えるけど、とある青年マンガ誌の作品に眼ぇ通すと
確かにクルマとか緻密に描き込んでるけど、やり過ぎにしか見えない感じな上
背景とかも細々と描き込み&トーン貼りすぎでゴチャついてしまい
コマの中のドレが主体なんだかわからなくなってしまうモノがある。
几帳面なベテランさんだから、そうなるのもわかるのだけど。

 笑い話方面(なので名前出すけど)では『頭文字D』がある。
普段全く読まないマンガだけど社畜時代、二日酔いの身で何気にヤンマガ開けて
コレ読んでいたのだけど、またコレもホコリとかゴチャゴチャ描いてたりするので
それ見ていたら気分悪くなって吐きそうになった(=マンガ酔い)。
イヤもぉ、胃がもたれている時に油っぽいモノ食わされる気分でしたよ(笑)。

 話を戻そう。
どうも最近のマンガは描き込み過ぎで空気感がなく、どうにも息苦しい背景描きが
多過ぎる気がする。
映画なんかでもそう。歴史モノやファンタジー、SFなんかでも全部3DCGで
作っているせいか、閉塞感ばかりが強くて「ちょっとなぁ」と思うモノが結構ある。

極めて乱暴な意見かもしれないけど、あぁいうのは「主体のキャラがドコにいるのか
わかりゃいい」みたいな所があるんじゃないの?
何もそんなに情報詰め込まなくても…と、一読者としては思う。

 以前こちらの方が、単行本巻末の対談にて「読者にただ面白かったと
思わせるだけじゃ残らない。情報なりを『おみやげ』として読者に持たせてやると
また読んでくれる」と教えられ、実践していた…とおっしゃっていたが、それは正しい。
しかし最近は、情報詰め込む事にばかり集中し過ぎて、肝心のハナシの方が
薄っぺらいというか、淡白になっている印象を受ける。
何だか、それまでグリコのオマケでよかったものが、気づくとDXビッグワンガムの
プラモでないと納得されなくなったかのような本末転倒ぶり。

 また登場人物も(劇画系か萌え系のどちらかの画風しかないのはともかく)
よく描けてはいるのだけど、表情とかで感情表せていないモノが目立つのは
問題だろう。
 線の情報量を増やすより、そういった方に腐心した方がいいのでは、と
外野から老婆心ながら思ったりする。


で、背景画の話だけど、参考までに「こういう感じなら」というサンプルを載せておく。
(注:クレーム出たら削除します)まずは↓コレ。

テキトー画廊-佐武と市

 『佐武と市捕物控』(石ノ森章太郎・作)より。
このエピソード『北風のみち』てのは、画風はもとよりハナシの構成まで
「お見事!」と言いたくなる傑作。ずっとト書き…というか読物みたいな
文章と画を並行させて(一歩間違うと絵物語みたいになる)、その中に
姿を見せない下手人のモノローグが割り込んでくる。
あたかも北風が運んで来たように。
で、事件が解決した頃やっとフキダシが出現するという感じ。

 左ページの正門の画とかに顕著なんだけどこの作品、舞台が江戸なので
目立つ部分の木目とか、丹念にフォローしなきゃならない。
その分、カゲになる部分は大胆に塗り潰してはいるけど。
確か『佐武市』が手の込んだ画風になった頃って、他にも『リュウの道』とか
『仮面ライダー』とかが並行していた頃か。後の『変身忍者嵐』なんかでも
画風は(時代物だけに)踏襲されており、当時の石森スタジオも地獄だったろう。

 そういえば永井豪ちゃんがTVのインタビューで
「時間がない場合はもう、背景ベタで塗り潰せ」と石ノ森さんに指示された
…と述懐していたコトもあったっけ。

 ただコレの場合、ある程度自身の中でパターンが出来さえすれば
後は特に迷う事もなく作業ができるのではないか。経験則から言うけど。


 もう一つは↓コレ。

テキトー画廊-ララバイ

 『あいつとララバイ』(楠みちはる・作)より。
全編中、最も気に入っているのがこの見開き…てのは置いといて
この時のアシスタントさんは相当な腕っこきで、空気遠近法をうまく
採り入れて、ジャマにならない=メインの人物を背景に埋没させない画を
成立させていて凄い。上の画はちょうど夜明けの首都高なので
朝の陽光で背景のビルをうまくトバしていたりする。

 それと、ミチハル兄の描く単車もそう。
しげの信者には昔から「手抜き」「ヘタクソ」「単なる記号」と悪口叩かれて
いたが、こちとらが「絵のウマい人」と思って読んでいなかったのはともかく(笑)
あの省略ぶりをうまく『画風』として確立させているのは大したモノだと思う。
最近はクルマの画も写真のトレスが多いけど。



 ところでココ何年か「マンガや雑誌の出版関係が苦しい」とよく耳にするけど
ぶっちゃけ「今のマンガって面白くない。だから売れない」て事でしょ。
マンガってもっと自由な気もするんだけど、最近はテメェらの手でテメェらの首を
締めているような気がして、それが一番の問題だと思う。
 クルマなんかでもそう。「何故売れない?」て言われても、消費者としては
「特にイイと思えるクルマがない」て事に尽きるでしょ。
景気よくしたければまずソコを考えろよと(あ、主題に戻ったね)。



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