今じゃ誰も語らない『あいつとララバイ』より | Gallery"TEKITOH"

今じゃ誰も語らない『あいつとララバイ』より

 またかよ、と思われるかもしれんが↓コレ関係で。

漫画・小説・映画で一番インパクトのあったセリフは? ブログネタ:漫画・小説・映画で一番インパクトのあったセリフは? 参加中
本文はここから


 こういうネタだと長くなるぞ(笑)。
で、表題の『あいつとララバイ』(作:楠みちはる)より、
最もズキッと来た研二の台詞:

「立たなきゃ 自分で
 わかってた事だろう スピードとリスクは紙一重だってコト
 だから立たなきゃ 自分で」

 所謂るみ子編(マガジンKC30~34巻)での一言(33巻ラスト)。
研二ZIIとるみ子ドカのラストバトルは、ハイサイドを起こした
るみ子の転倒というカタチで幕となったワケだけど、その時に
上記の言葉が出て来た。
 この編から作風がまた微妙に変化してきたのだが、その理由として
連載終了時に『モーターサイクリスト』誌のインタビューにて、
以下のように答えていた。

「キング編のあたりから『免許取ったらZII買って首都高走りたいです』
というファンレターが届くようになって『俺は読者をダマしてるんじゃないか』
と思った。」

 ひょっとしたら、同じ誌面に連載されていたバイク漫画で、ライバルを
死なせていた事も影響していたかもしれない(アレで離れた読者もいたが
個人的には『あしたのジョー』や『サーキットの狼』の換骨奪胎だな
…という感じ。まぁ熱心に読む事はなかったが)が、それはともかく。

 確かに後の研二は、夜中の峠でもセンターラインを割らずに走り、
件のラストバトルでも、二台並んで突っ込む余裕がない所で退き
マージンのある所でオーバーテイクしている。
 もっと「命懸けで走る」系のムード出してりゃ読者人気も更に高くなる
かもしれないが、それじゃ読者ダマしている事に他ならない。
同編の箱根バトル後に研二自身が語っているように「バイクは危険な
乗り物だから、出来る限りリスクを避けて楽しくトバしたい」という
意図を示すために上記のような行動を取り、それを忘れた場合の
ツケは自分自身に全て帰って来る。なので冒頭の台詞となる。
コレ全部、読者に向けたメッセージに他ならないのだ。

 他の読者がどう読んでいたかは知らないが、まぁ漫画ってのは
作者と読者の『会話』であって、その会話自体も一人一人違う
ワケだから強制はしないけど。


 それともう一つ。さらに古いネタで恐縮だけど
アニメ版『タイガーマスク』最終回(#105『去りゆく虎』)より↓。

「虎の穴から貰ったものを叩き返してやる!それで俺は『伊達直人』に還るのだ!!」

 別にプロレス引退して市井に紛れる為に吐いた台詞ではない。
ドコに還るのかといえばそれは、上野動物園で誓いを立てた少年時代。
「虎だ…。俺は将来虎になって、ズルい大人、悪い大人をやっつけてやる!」
(#1『黄色い悪魔』より)と誓ったあの日の事だろう。
少年時代の直人の姿は、自身が岐路に立たされている時に浮かんで来た姿。
覆面ワールドリーグ戦出場を躊躇っていた時も然り。

 個人的に『タイガー・ザ・グレート編』てのは以前の『赤き死の仮面編』の
発展型だと思っているのだが、あの時は『山月記』よろしく心まで虎になって
しまった自身を悔やんでいたが、今回は少年時代の誓いを果たすべく
自らすすんで虎になった、と。またこの姿が哀しくも美しいのだ。