母と夫、苦悩する私。 |    箱ミネコの℞日記(暴走)単行本発売中!

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漫画化に続き書籍化好評発売中!!(驚)実録離婚調停日記。モラルハラスメントの元夫へのやり場のない怒り、調停離婚の手順、自身のトラウマ脱出メンタルケアなど綴って行きます。

妊娠してからというもの夫は露骨に私を無視し始めた。

母子手帳の父親の欄に、嫌で仕方ないと言った感じで署名されたときはさすがにその場で泣きましたが、夫は知らんぷりでした。

そのくせテレビを「胎教に悪いから見ない方が良い」といって独占していましたが(笑)
ホラースプラッター物ばかりレンタルしてきて一晩中見ている夫のことがだんだん怖くなってきました。

妊娠の経過も、エコー写真も、本当に無関心でつらかったです。
赤ちゃん用品を揃えたいから車を出して欲しいと何度も頼みましたが、
「行きたくない」と断られ続け、私も「妊娠したら胎教いっぱい頑張るぞー♪」と思っていたのに気分が塞ぐばかりで、結局何も出来ませんでした。

それってとっても心残り!ごめんね、息子ー!

しかしエビ胎児は相変わらず担当医も感心するほど順調で、ストレスで太れない私は何故かとっても優良妊婦扱いでした。

私は実の母に対して幼い頃から「私はこの人を選んで生まれてきたんだ」という確固とした思いこみ?があったので(笑)
息子もきっとそうなんだ、と信じることにしてあまり罪悪感を持たないことにしました。

一人で何度も赤ちゃん用品を選びに行こうとしましたが、幸せそうな夫婦に会うと精神が崩壊しそうだったので、行きませんでした。

まだ両親には夫婦の危機をハッキリとは伝えていなかったので、そんな私を母がいつも電話で一方的に母親失格となじるのも憂鬱の種でした。
何故私がそんな状態なのか母は探ろうともしません。
子供の時から私をなじるときの母はいつもとても生き生きとして、多弁で、興奮していて、私はぼんやりと「楽しそうだから放っておこう」と思っていました。

代わりに父が、うすうす夫の態度や、待望の妊娠後の私が「幸せ感」が薄い様子なので、これは…やばいことが起きているな、と心配していて電話で私の様子と、夫の様子を聞いてくれたり、励ましたりしてくれていたのが救いでした。

夫はたびたび実家に帰っていました。
私も夫に、煮詰まるようなら実家に帰るように言っていました。

夫が実家に帰ると、不思議に気が楽になって家事も仕事もはかどります。

こんな事を思う私は悪妻だな、と落ち込んでいたけど、もっと長く実家に帰るように頼むようになりました。(笑)
しかし何故か夫はすぐ戻ってきます。
実家にはパソコンや、ビデオがないのでつまらないと言ってました。ふう。

夫が一週間出張している間に、業を煮やした母が「妊娠中の娘の家事手伝い」に来ました。

私は嬉しいな、と思うと同時にとてもしんどい気持ちになりました。
夫と母は同じくらい私にとって重圧のような気がしていたから。

実家から来た母は早速私とデパートのマタニティコーナーに行きました。
やっと行けたのでとても嬉しかったのですが、母と買い物に行くのはいつも細心の注意が必要です(笑)

とにかくムラッ気のある母がいつ突発的に怒り出すのか私にはいつも見当がつかないので、緊張です。

いくら気をつけようとしても、私は気が利かないので、母を怒らせずに済むことはとても難しいのです。

母はマタニティウエアをあれこれ選び出しました。
大きくなったお腹がキツイのでしゃがんで履くパンツより、スカートが良いと言ったら
「アンタはいつも決めつけるんだから!冷えたら困るでしょう?」といってパンツを買ってくれます。

私はいつものように自分の希望を述べるのは止めて母に任せることにしました。

妊娠中の私は長時間立ちっぱなしがつらいのに、興奮しきった母は何度も私に試着をさせて「駄目ねーこんなに太っちゃ似合う服なんて難しいわ」
などと言って店員を笑わせています。妊婦に対して面白い冗談です。母はいつもユーモアがあって冴えているように見えますが、

本気で非常識なことを言っているだけなのです(爆)

一つの事に集中した母は止まらなくなるので、お腹も空いて疲れてきた私はいつものように母を止める事にしました。

「お母さぁん、これも買ってぇ~これじゃないとイヤー」

バカ丸出しのおねだり娘です(笑)
何故かこうすると母ははたと正気?に戻るのです(笑)

「いきなりなんでも欲しがるのはアンタの悪い癖よ!もうこの辺にしなさい、全く」

やっと母は会計を済ませてくれました。

そのあと、「家に帰ってお母さんが美味しくて栄養のあるご飯を作ってあげる」という母にまたもやおねだりで外食に決めさせました。

母はやらせると完璧ですが、実は家事がとっても苦手なのです。
うっかりご飯など作ってもらうと、食べる頃には激しく不機嫌になるのは目に見えていました。

帰り道で「だらしないアンタの家を綺麗に片づけてやるわ」といって私から感謝の言葉を強要する母でしたが、感謝の言葉で満足したのかそのまま帰宅すると「疲れたから横になるわ」といってベッドに倒れてしまいました。

私はお茶を入れたり、母の足をもんだりしました。

「妊婦をこき使って悪いわねえ」

「良いのよ病気じゃないんだから、お母さんがいるだけで嬉しいの」
私は心からそう言うと、

「そうよね、ミネコもやっと人並みな気持ちを持てるようになったのね」

ととても満足そうでした。
私も今回の返答は母の満足のいく物だったのが嬉しかった。
母との会話はいつも禅問答か、謎かけか、意地の悪い引っかけが用意されているような気がする。

夜、不眠症の母はいつまでも眠れず、夜中に私は何度も起こされ、母のためにお茶を入れたり(他人のウチは勝手が違うから色々いじると悪いからという理由で)アイスクリームを欲しがるのでお向かいのコンビニまで買いに行ったりしました(アイスくらい買い置きしときなさいと叱られながら)

私は母を愛しているのですが、いつも少し恨んでしまったり、早く帰ってくれーと思ってしまうのは何故なのかと自己嫌悪に浸りました。

翌日、母のお気に入りのオシャレなカフェで朝食を楽しく終えると、「まだアンタのあの汚い部屋を片づけてあげてない」と言う母に、心からの感謝を述べて駅まで送り帰って貰いました(笑)

昼過ぎに父から電話がありました
「お母さんは無事帰ったよ、どうだった?」
「一杯服を買ってもらって、ごちそうになったよ、お母さんから聞いてないの?」
「…なんだか落ち込んで寝てる(笑)ミネコ、大変だったろう?親孝行ご苦労様

父はいつも母のことなら何でもお見通しのようです(爆)

可愛いらしい愛すべき母は、自分が思ったより娘に何も出来なかったと言って父に八つ当たりをした後、ふて寝してしまったそうでした。

いたいけな母を思いながら私は

「夫と母はよく似ている」

と気がついて、とても悲しい気持ちになったのでした。