エビのシグナル |    箱ミネコの℞日記(暴走)単行本発売中!

   箱ミネコの℞日記(暴走)単行本発売中!

漫画化に続き書籍化好評発売中!!(驚)実録離婚調停日記。モラルハラスメントの元夫へのやり場のない怒り、調停離婚の手順、自身のトラウマ脱出メンタルケアなど綴って行きます。

夫の実家を出て夫婦だけでアパートを借りて新生活を始める。
そう決めたけれど、私は何のときめきもなかった。

今よりは不便さが解消されるが、夫の世話と仕事の両立が出来るだろうか?

という不安があったからだ。
夫との結婚生活で、すっかり奴隷根性が染みついた哀れな私(爆)

アパートを探しに行く私達の障害は、夫の「身の程知らず」であった。

月6万円しか生活費を渡さないクセに、夫の出した譲れない条件とは、「広い部屋」「新築マンション」「駐車場付き」「日当たり良好」「静かで環境が良く、駅近く」であった。
笑っちゃうよな!

不動産屋でもこう言い放つので、フォローするのが大変だよ(笑)
予算とかけ離れ過ぎる条件だぞ、お前、身の程を知ってくれよー!

しかし地獄に仏もあるもので、道路沿いだが比較的静かな広めの2DK、日当たり良好、駅10分、築十年マンションで6万円台の物件を見つけることが出来た。
大家さんも親切で、物件としては破格の優良物件だった。

夫も「オートロックじゃないのが唯一不満」(あほか)と言ってまずまず満足したようだった。

駐車場が高い地域なので、かけずり回って月1万円の駐車場を探したのも私。
(後に大家さんに生活が苦しいと相談すると、月5千円で自宅の空きスペースを貸してくれた!)
引越から何からセッティングしたのも私。でした(涙)

お陰ですっかりへとへとになったよ。

しかしそれを労うことなく、夫はやたらにはしゃいでご機嫌で
「ホームシアターセット買おう」とか「ベッドとソファーを買おう」と言って私を怯えさせた。

どこにそんな金とスペースがあるんだよ!(怒)

「これでお袋に干渉されなくて自由だな」
などと恩知らずな事を言い出す始末。

だんだん私は鬱が悪化してくるのが分かった。

お金が足りないからとにかく仕事を増やし続けて消耗していく私。
しかも朝早く、夜遅い夫の生活パターンに合わせて世話をしなければならない。
休日の夫ははバカみたいに昼過ぎまで寝て、同僚と「バンドの練習」に費やして、用もないのに車のショウルーム巡り。

夫婦って…こういうものなの?

もっと当時色々あった夫への不満を書きたいのだが、

あんまりつらくて思い出せません!(爆)

とにかく「愛されてない感」増大の一途。

それに夫は私のダイエット食が効果絶大だったので、12㎏も痩せて、オシャレ心が芽生えてしまった。
服飾の仕事をしていた私がうっかり「体型補修テクニック」など教えてしまったためにさらに激しく浪費しだした。

自分がオシャレになると、髪を振り乱して働く私をバカにし出したのには本当にあきれてものも言えない。

離婚の話し合いの時に「俺をカッコ良くしてくれた君には感謝するけど」って言ったほど自信満々の高慢ちきに成っていましたよ、ホリエモン似のクセにな(爆)

家では職場でどれほど自分が仕事が出来るかの話しかしなくなり、自信をつけて若い子から「若く見える」だのお世辞に舞い上がってどんどん若作りの軽薄な話し言葉と内容になっていったのは耐え難かった。

「所帯臭さ」を嫌悪して、節約主婦の私を芯から軽蔑していく。

働けど我が暮らし苦しくなるばかり也、で出口無し!
しかし、薬局勤めの友人から婦人機能回復の漢方薬と生活改善マニュアルを贈られて、実行。止まっていた生理が再開!
そして流産から2年2ヶ月、待望の妊娠!!

高齢のこともあり、もう諦めてかけていた私は都の無料子宮ガン検診にうっかり行ってしまった。(危なかった!)
担当医に「え?今月2週間生理が遅れてる?奥さん!違う検査からするべきです!」とエコーをかけられたら、

いたよ!心臓とくとく動いてる、エビのような胎児が!(笑)しかもいきなり跳ね動いたのだ!泣けた。

夫婦仲が冷め切った、今になってやって来た子供。
担当医も驚く元気な胎児!
もしかして愛が戻るのではないか?私は奇跡を信じて夫に喜びのメールを送った。

「喜べません」

氷のような返信が届いた。

夜遅く帰った夫は「だってまだ分からないだろ、無事生まれるかどうか」とだけ言った。

その不安は私にもあった、だけど祝福もされずに逝った最初の子供の二の舞はさせまい、

私は夫がいかに人でなしの発言をしようとも、惑うまい!私は今度こそ
手放しでこの子の命を祝福する!と決めた。


夫の発言に傷つきはしたが、流産の心の傷は癒えていくのがわかった。
鬱を吹き飛ばす喜びの出来事。

エコーで見たエビの健気さに、待ちかまえていた母親ホルモンがどくどく吹き出していった。

この日から夫は完全に私を邪険にし始める…。

喜びと同時に、新たな悪夢が始まっていたのではあるが…。