ちょうど1年

新しく心臓が動き始めてから・・・


あっという間の1年でした。


体だけではなく、気持ちまで大きく私を変えてくれた心臓手術でした。


手術をして本当によかったと思っています。


現在の状態はずいぶん良くなっていると思います。
手術をしたことを忘れるくらいに・・・

走っても苦しいことはありませんし、体力に自信もついてきました。

時々感じる「ドキドキ」感はあります。
咳も相変わらず出ますが、
横になった時というわけではないので少しあきらめています。







現在の創の状態です。

わきに一つの丸い傷

斜めに乳房の下
・・・とてもきれいです。

・・・痛みもありません。
創自体の痛みはないのですが、胸がチクン、ズキン、ということはあります



私の受けたポートアクセスについてまとめてみました。


心臓手術の一つの方法としてポートアクセスがあります。

MICS(ミックス:minimally invasive cardiac surgery)手術です。
以前からおこなわれていた胸の真ん中で縦に大きく切開し胸骨を切る胸骨正中切開に対して、
開が小さく低侵襲(体への負担が低い)という利点があります。


私が20代で心臓手術を考えた時に気になるのは胸の傷でした。
当時の手術は(30年ほど前)胸の真ん中を大きく切る正中切開が当たり前でした。

その後、心房中隔欠損症ではアンプラッツァーというカテーテルでの治療が出来るようになりましたから、胸を切らないでも済むわけです。
但し、心臓の欠損(穴)の状態にもよるようですし
私には若干の金属アレルギーがあることも心配でした。


そこで、ロボット手術に関心を持ちました。
金沢大学の渡辺剛先生(現:ニューハート・ワタナベ国際病院)が行っていらっしゃる「ダヴィンチ手術」

創がないということは魅力でした。
(創はないが穴の痕がいくつか残るということです)


しかし一番問題なのはお金がかかる事です。
保険がきかないなんて・・・
実費ということですよね。「○百万」
とてもダヴィンチ手術には踏み切れませんでした。


それと、私の場合心房細動がありました。
心房中隔欠損症の手術だけなら割と簡単なもののようですが、
心房細動があるということであれば、
メイズ手術をやっていただきたいと思っていました。


それもポートアクセスで・・・
そこで、メイズ手術もお願いするのであれば米田先生かと思いました。


実際に検査をしたら三尖弁閉鎖不全もありました。
心房中隔欠損症で穴をふさぐだけでは済まされない状態です。
メイズ手術と三尖弁形成も同時に施術していただきました。


それらを含めての手術という点では、
ポートアクセスは条件を満たしていたと思います。
6センチの創と1個の穴が残りましたが、

結果的によかったと思っています。
今見ても大変きれいで目立ちません。



胸に傷が残ることで心臓の手術を躊躇している人がいるかもしれません。
そうであれば、ぜひポートアクセスがいいと思います。
「創は勲章」とは思うものの、小さいに越したことはありません。


痛みの面でも、術後の回復の面でも、
本当に心臓の手術をしたのかと思うこともあります。

ポートアクセスも、もしかしたらいろいろなやり方があるのかもしれませんが、私にしていただいたものは全く痛みがありません。
右肋骨の間(乳房の下)を6センチほど斜めに骨に沿って切ってあります。
その際に肋間神経ブロックがしてあるということで痛みがないようです。
これはほんとにうれしいことです。
術後の痛みは随分なストレスになると思うからです。


病気の状態によってはポートアクセスが出来ない場合もあるようですが、
心房中隔欠損症、僧房弁置換術、僧房弁形成術 大動脈弁置換術、大動脈弁形成術、三尖弁形成術、メイズ手術などで行われるようです。


ポートアクセスは視野が狭いこともあり技術がいるようです
この手術を多くこなしているベテランの医師を選んでください
たくさんの経験が手術の質を上げるものだと信じています。



利点
①傷が小さい
②痛みがない
③社会復帰が早い
④保険適用


①については傷が右胸乳房に沿って下部を斜めに6センチ
 胸骨正中切開と比べて傷は目立たず、温泉などでも気になりません。
 正面から見ても傷痕は見えません。
 この手術は右胸から心臓へ直接アプローチします。
 あくまでも開胸手術で、胸腔鏡手術ではありませんでした。
 小さい切開で長めの特殊な器具を使っての手術になります。


②痛みは全く気になりません。「痛みなし」と言ってもいいくらいです。
 通常の心臓手術は胸骨を切りますが、

ポートアクセスは骨を切りません。肋骨の間からの手術です。
 肋間神経ブロックをしているので、
術後創そのものの痛みはありません。

 ピリピリした神経の感覚が残ります。


③骨を切らないので術後の治りが早いです。
 私の場合術後10日で退院

 退院後10日目には自動車を運転して会社へ行きました。


④保険が適用されるので3割負担で済みます。
 なおかつ高額医療制度がありますので、私は450万ほどの手術が13万強で済みました。
 


注意点
①ポートアクセスはどの病院でもやっているというわけではない。
 狭い視野からのアプローチになりますから技術が必要です。
②人工心肺を右下肢の付け根にある大腿動脈につなぎます。
 そのため、大腿動脈や大動脈に動脈硬化がないひとに限定される。


詳しくは米田正始先生のHP「心臓外科手術情報WEB「心臓外科手術情報」 をご覧ください。