2007年にPRIDEが消滅して、総合格闘技人気に陰りが見えてきた。
総合格闘技なら何でも人気が出ると思った関係者がいたらそれは誤算だっただろう。
PRIDEは多くのプロレスファンからも高い支持を得ていた特別なリングだったのだ。
ライバルが消えたこともあるかもしれないが、新日本プロレスに熱が戻って来た。
一度プロレスを去ってPRIDEに流れたファンも戻って来たのかもしれない。
超満員の後楽園ホール。ようやく暗黒期を抜け出た感のある新日本プロレス。
2008年3月30日、後楽園ホールのメインはIWGPヘビー級選手権試合。
王者・中邑真輔に挑戦するのは棚橋弘至。
7度目のシングル対決。対戦成績は中邑の3勝2敗1分けとほぼ互角だ。
互いに手の内を知り尽くしている同士。スピーディーなグラウンドの攻防と駆け引きの序盤戦。
先に仕掛けたのは棚橋。ロープブレイク。離れ際に痛烈な顔面張り手!
中邑が怒り、強烈なヘッドロック! 棚橋がロープに飛ばしても中邑はヘッドロックを外さない。
棚橋が苦悶の表情。一度離れても中邑がすぐにヘッドロック!
中邑をコーナーに追い込むと棚橋がボディブロー連打からエルボー!
中邑がコーナーに飛ばして突進すると棚橋が両足を上げてキックを放ち、さらにドロップキック!
パワーを見せつけるように中邑がデッドリードライブのようなボディスラムを2連発!
コーナーポスト最上段に上がった棚橋に中邑が強烈なミドルキック!
場外に転落した棚橋に中邑がプランチャ! どよめきが起こる。
場外でダウンする棚橋を中邑がリングに投げ入れるが、中邑がエプロンに立つと棚橋がロープを利して逃げ道のないドラゴンスクリュー!
左膝を押さえてダウンする中邑。棚橋が徹底した左脚殺しを長時間に渡って続ける。
10分経過。
棚橋がインディアンデスロック! これはきつい。苦悶の表情の中邑。何とかロープをつかんだ。
中邑がエルボーを連打しても棚橋が左膝を蹴ると中邑はすぐにダウンしてしまう。
棚橋がロープに飛ぶと中邑がミドルキック! さらにラリアット!
中邑がミドルキック3連打からロープに飛ばしてパワースラム!
中邑がボディスラムで投げようとしたが棚橋がドラゴンスリーパー!
しかし棚橋の顔面に中邑が膝蹴りを炸裂して外した。棚橋もすぐに左膝にピンポイントドロップキック!
棚橋がフライングエルボー、ジャンピングエルボードロップ、サマーソルトドロップ!
セカンドロープに乗った棚橋がサマーソルトドロップ!
中邑が寝たままの状態で棚橋がドラゴンスクリュー! これは痛い。
15分経過。
今度は棚橋が右脚殺し。両脚にダメージを負わせる作戦か。中邑苦しい。
棚橋がコーナー最上段に上がると中邑もコーナーに上がり、雪崩式ランドスライドを狙うが、コーナーから下りた棚橋がパワーボムからのエビ固め!
しかし中邑が下から三角絞め! 棚橋が苦悶の表情。顔が真っ赤だ。棚橋コールがわく。
立って技を外そうとする棚橋に中邑が腕十字固め! 棚橋苦しい。
ところが、両脚をクラッチした棚橋が強引にテキサスクローバーホールド!
何という切り返し技か。
中邑苦しい。ロープに這うが棚橋がリング中央に引きずり戻す。顔面蒼白の中邑が何とかロープをつかんだ。
両脚のダメージは相当なものか。中邑が脚を引きずりながら闘う。
棚橋がロープに飛ぶが中邑がラリアット!
中邑がロープに飛ぶと棚橋がスリングブレイドを狙うが、わかした中邑がバックに回りスリーパーからリバースパワースラム!
カバーの体勢。カウントツウで棚橋が返す。
20分を超える熱闘。
バックを取った棚橋がダルマ式ジャーマンスープレックスホールド! カウントツウ。
棚橋がロープに飛んでスリングブレイド! ロープに飛んでスリングブレイド!
カバーに入るがカウントツウ。
棚橋がコーナー最上段からハイフライフロー! カバーの体勢。カウントツウで中邑が返した。
もう一度棚橋がコーナー最上段からハイフライフローを炸裂するが中邑が両膝で迎撃! 中邑も痛い。
中邑が抱え上げてランドスライドを狙うが棚橋が回転エビ固めに切り返してカウントツウ。
すぐに中邑がエビ固めに丸め込むがカウントツウ。棚橋がエビ固めはカウントツウ。中邑がエビ固めで返すがカウントツウ。
決まらない。
同時に顔面! 張り手のクロスカウンター!
棚橋の大振りの張り手をかわした中邑が飛びつき式腕十字固めを狙うが棚橋が体重を浴びせてエビ固めに丸め込みカウントツウ。
危ない。
バックを取った棚橋がジャパニーズレッグロールクラッチを決めるがカウントツウで返した中邑がそのまま腕を取り腕十字固め!
完璧に決まってしまった。棚橋の肘が伸びている。棚橋がタップアウト!
中邑激勝。見事に二度目の防衛を果たした。
新日本プロレスに熱い闘いが戻って来た。「プロレスは闘い」という創立の理念を忘れてはいけない。
勝利インタビューで中邑は、新日最強の棚橋弘至を倒したと語り、次は他団体の選手の挑戦も受けると伏線を張った。