2004年8月15日、両国国技館で開催されたG1クライマックス優勝戦。
Aブロック3位決定戦は蝶野正洋VS中邑真輔だ。
黒装束に身を包んだヒール・蝶野正洋が堂々と入場し、リングインするとコーナーに上がり、ファンにアピール。
その時、背後から中邑が襲いかかり、バックを取ってジャーマンスープレックス!
奇襲戦法だ。中邑は蝶野のコスチュームを奪い、投げ捨ててジャーマンスープレックス!
中邑がロープに飛ばそうとしたが、逆に蝶野がロープに飛ばしてマンハッタンドロップ!
怒りの蝶野がケンカキック! 中邑が場外に転落する。場外乱闘だ。
セコンドの村上和成が蝶野にイスを渡した。
蝶野がイスで中邑の膝を殴打! 中邑が絶叫する。
サブレフェリーのタイガー服部の制止を無視して、蝶野が殴る蹴る!
フェンスを利して中邑の脚を折り曲げる反則攻撃。
わざとか、蝶野は、リングサイドにいる草間政一社長がいる場所へ中邑を放り投げた。
まだリングに上がらない。中邑が流血している。蝶野が割れた額にパンチ連打、ヘッドバット!
蝶野が中邑のコスチュームの膝の部分を引き裂き、膝にストンピング!
場外乱闘は続く。蝶野がゴングを鳴らす木槌で中邑の額を突く!
中邑の腰をフェンスに叩きつける。蝶野は試合を度外視しているのか。
ようやく蝶野が中邑をリングに投げ入れた。
なぜか蝶野がサブレフェリーのタイガー服部をメインレフェリーに指名する。
躊躇する服部に蝶野が「カモン!」と怒鳴る。
服部がリングに上がると、蝶野がロープに飛んでフライングニールキック!
カバーの体勢。カウントツウで返した中邑だが苦悶の表情。
村上がリング下から蝶野にイスを渡す。
服部の注意を無視した蝶野が中邑にイスを投げる。中邑がイスを両手でキャッチすると蝶野がドロップキック!
中邑がダウン。服部が注意すると蝶野が服部のボディにキック!
服部もダウン。ノーレフェリーの無法状態になったリング上。
蝶野がロープに飛んでケンカキックを狙うが中邑が飛びついてシャイニングトライアングル・三角絞め!
極まっている。リング中央。しかしここでゴング。
4分39秒、レフェリーへの暴行により蝶野の反則負けだ。
蝶野が上になり、中邑にパンチパンチパンチ連打!
新日セコンドと魔界俱楽部軍団がリングに上がり、蝶野と中邑を分けた。
黒スーツの星野勘太郎総裁も怒りの形相で何か抗議している。
激怒した中邑はリング下から蝶野を怒鳴りまくる。
中邑がセコンドの肩を借りながら退場すると、蝶野がマイクを持った。
「オイ、両国、悪いけどきょうはおまえら無視してもらうよ」
そう言うと、リングサイドの草間社長を睨みつける。
「オイ、テメー、草間! テメーに言っといてやるよ。テメーの前でな、オレはG1なんかやるつもりねんだよタコ!」
草間社長が険しい表情で蝶野を見ている。
「オイ、おまえ、足元崩れてんだぞオラ、エエエ!? ふざけんなこの●●●野郎!」と放送禁止の罵詈雑言。
蝶野は草間社長にリングに上がれと言う。
「上がって来いオラ! 20周年ふざけんなタコ、オラ!」
しかし草間社長は腕組みしたまま動かない。
蝶野はリングに寝転がり、挑発。動かない草間社長に今度はお尻ぺんぺんポーズ。
だがマクマホンではあるまいし、草間社長は無反応を決め込む。
蝶野は仕方なくリングを下り、草間社長を睨みつけると、退場した。
プロレスには時々、このような「場外乱闘」がある。
ファンにはよくわからない。会社への不満、社長への不満があるのは想像できるが、詳細が不明である。
選手ではない社長とプロレスラーでは試合に繋がるわけではないので、サイドストーリーにもならない。
だからファンに受けるパフォーマンスともいえない。
やはりサイドストーリー創りでは、長州力の右に出るレスラーはいないかもしれない。