1998年2月8日、札幌中島体育センターで行われたドリームカード30分1本勝負。
ケンドー・カシンVS大谷晋二郎。
まだゴングが鳴る前、コスチュームを着たまま大谷がいきなりフライングニールキック!
カシンをコーナーに追いやり、大谷が顔面ウォッシュ連打から顔面にドロップキック!
早くも場外乱闘。大谷がカシンを3回もフェンスに叩きつけた!
セコンドのエル・サムライが大谷に文句を言うと大谷が殴りかかる。
IWGPベルトを失ったことで憤慨しているのかもしれないが、放送席のマサ斎藤も大谷のラフファイトに苦言を呈する。
大谷がカシンをさらに2回もフェンスに叩きつけ、リングに投げ入れた。
カシンの後頭部にストンピング連打、顔面踏みつけ! 荒れまくる大谷。
怒りのカシンがエルボースマッシュ連打で反撃! 大谷をコーナーに追い込み、顔面ウォッシュ連打!
大谷をフライングメイヤーで投げ、スリーパーホールド。
カシンがヘッドロック。大谷はすかさずバックドロップ!
キレている大谷がボディにニー、エルボースマッシュ、フライングメイヤー、スリーパー、首4の字固め。
ロープに逃れるカシンだが、大谷が肘でしごくフェイスロック。カシンの顔面をしごくしごくしごく!
しかしカシンが冷静にスクールボーイで丸め込みカウントツウ。前方回転エビ固めでカウントツウ。
カシンがネックブリーカードロップ! お返しにストンピング連打から顔面踏みつけ!
大谷の左腕にキックを連打し、一本背負いからの腕十字固め! 大谷がレッグロック。
5分経過。
カシンが腕十字固め。しかし上になった大谷がサミング!
我を忘れている大谷に対してマサ斎藤が忠告する。こんな闘い方ではカシンの一瞬の関節技でやられる。
大谷が顔面にニー、張り手! カシンがエルボースマッシュ連打! 大谷が顔面キック!
カシンがワキ固め。大谷が防御するとすぐにカシンが腕十字固め! 大谷がロープに脚をかけた。
カシンが左腕にストンピング連打、リストロック、アームブリーカー!
大谷がローリングソバット! さらにランニングライガーボム! カウントツウでカシンが返した。
エプロンに立った大谷がカシンの背中にスワンダイブ式ドロップキック!
バックを取ってドラゴンを狙う大谷だが、カシンが飛びつき式腕十字固め! 大谷がロープに逃れる。
どんな体勢からでも腕十字固めを極められるカシン。
10分経過。
カシンが背後から飛びつくが大谷がバックグリップで叩きつけた!
ロープをくぐり、エプロンに立った大谷が観客席のほうを向き「こんなんに手こずってらんねんだよ!」
大谷がスワンダイブ式ニールキック! カバーに入るがカウントツウ。
大谷がカシンをコーナーに飛ばし、突進するがカシンが大谷が抱えてコーナーに乗せ、左右のボディブロー連打から飛びつき式腕十字固め!
完璧に決まった。大谷がタップアウト! カシンの完勝だ。
大谷の敗因はわかっている。完全に自己コントロールができないほどキレてしまっていた。
しかも強敵カシン相手に「こんな相手に手こずってられない」という気持ちでは勝てるわけがない。
カシンは冷静に逆転の瞬間を狙っていた。
怒りに任せて相手をコテンパンに叩きのめすには、相当の実力差がないと無理だし、エキサイトしていても、どこか自分を俯瞰して見る冷静さがないと、プロレスではうまくいかない。
アントニオ猪木の喧嘩殺法は、マジギレのようで冷静さがあった。
昨夜23時、NHKで放送された「明鏡止水」にオカダ・カズチカがゲスト出演した。
合気道の達人となると、57キロの人が107キロのオカダを軽々と投げてしまう。
オカダは、本気で投げられまいと力を入れても投げられてしまうので驚いていた。
ケンドーコバヤシもいたので、プロレス技の中でも合気道など武術を取り入れたものが多いという話題にもなった。
ドラゴンスクリューはまさにそういう技で、耐えたほうが脚を痛めるので投げられるしかない。
実はオカダのレインメーカーも遠心力を利したラリアットなので、合気道の達人が普通のラリアットよりも数倍の威力があるのではないかと分析していた。
オカダは決してスタン・ハンセンや小橋建太のように腕が太いわけではないから、レインメーカーが一撃必殺技なのかと首をかしげる人もいる。
なるほど合気道の達人がわざわざ忖度することはないはずだから、レインメーカーは武術の技を取り入れた必殺技だったのだ。
さすがにレスラー以外の人間にはできないので、新日本プロレスの若手が餌食になり、オカダが皆の前でレインメーカーを実演してみせた。
炸裂した瞬間、ものすごい音が響いて若手が卒倒した。
目の前で見て、合気道の達人も驚くほどの一撃だった。