1998年1.4東京ドームのセミファイナルは、越中詩郎VS蝶野正洋。

 

2年半ぶり8度目のシングルマッチ。黒のカリスマと白のド演歌ファイターの一騎打ち。

 

新日本プロレスの勢力分布図は完全に逆転し、nWoジャパンはかつての平成維震軍以上の勢力に拡大している。

 

nWoはプロレスの枠を超えてプロ野球にも影響を及ぼしていた。

 

しかし、サムライ詩郎は独りになっても平成維震軍は終わっていないと豪語する。

 

ゴングが鳴った。60分1本勝負。蝶野がフライングメイヤーで投げ、ロープに飛んでいきなりケンカキック!

 

越中も顔面キックからジャンピングヒップアタック! ロープに飛んでジャンピングヒップアタック!

 

越中がスリーパー、ヘッドロック。蝶野がフェイスロック、首4の字固め、キャメルクラッチ。

 

リングサイドには三浦大輔と鈴木尚典の姿が見える。

 

蝶野がヘッドバット連打! 越中がアームホイップからアームロック。

 

越中のヒップアタック連打で蝶野がダウン。越中が首4の字固め。

 

5分経過。

 

蝶野がフライングメイヤーで投げ、コーナーポスト最上段に上がるが越中が雪崩式ブレーンバスター!

 

しかしすぐに立ち上がった蝶野がケンカキック! 

 

蝶野が花道に出て、ロープ超しのブレーンバスターを狙うが、越中が逆にリング内へブレーンバスター・・・を蝶野がバックに回って着地。

 

ロープに飛んだ蝶野がケンカキックを放とうとするが、越中が脚を取ってコーナーに投げ、バックを取る。

 

激しいバックの取り合い。越中がバックを取ると蝶野が金的キック・・・を読んでいた越中がよけて、コブラツイストからグラウンドコブラ!

 

カウント2.9で蝶野が返した。

 

越中がパワーボムからエビ固め! カウント2.9で蝶野が返す。

 

蝶野がロープに飛んでケンカキック! もう一度ロープに飛ぶと越中がカウンターのジャンピングヒップアタック!

 

勝負に出たか、越中がパワーボム! パワーボム2連発! しかしカウントツウ。

 

まだ行く越中が、パワーボム! ウラカンラナで切り返そうと思ったのか、蝶野が技を失敗して危険な角度でマットに首から落ちてしまった。

 

蝶野が動けない。越中がフルネルソン。ドラゴンを狙ったが蝶野が金的キック! 失望のブーイングが起こる。

 

「あああ・・・」という観客の溜息。白熱した好勝負を一瞬にして台無しにする行為だ。

 

タイガー服部は見ていたのに蝶野を注意するだけ。

 

苦しがる越中に蝶野がケンカキック! カバーに入るがド根性の越中がカウントツウで返した。

 

越中がスクールボーイで丸め込むがカウントツウ。

 

10分経過。

 

越中がロープに飛ぶとヒロ斎藤がリング下から足を引っ張った! 大ブーイングが巻き起こる。

 

しかし、放送席は「抜け目ない」「カメラマンに紛れていた」とヒロ斎藤を褒める。

 

蝶野がSTF! リング中央。越中がロープをつかむと大歓声と大拍手が起こった。

 

まだショーではない本気のプロレスを求めるファンは大勢いる。

 

ストロングスタイルファンは金的攻撃や無意味な乱入には断固反対し、嫌悪感を抱く。

 

 

蝶野がパワーボム! カウントツウで越中が返す。

 

もう一度蝶野がパワーボムを狙うが越中がリバーススープレックスで返し、今度は越中がパワーボム!

 

カウントツウで蝶野が返した。

 

越中がブレーンバスターを狙うが蝶野がネックブリーカードロップ!

 

蝶野がパイルドライバーで脳天から落とした! 今度はパイルドライバーの形で顔面からマットに叩き落とすフェイスクラッシャー!

 

越中苦しいか。蝶野がバタフライロック! 越中が苦悶の表情。

 

蝶野が技を外し、ロープに飛んでケンカキック! カバーの体勢。越中がカウントツウで返した。

 

越中が首固めで丸め込むがカウントツウ。

 

コーナーに陣取った越中が助走をつけてジャンピングヒップアタックを狙ったが蝶野がカウンターのケンカキック!

 

完璧に決まってしまった。蝶野がカバーに入り、カウントスリー!

 

無念、越中敗れる。

 

 

スポーツや格闘技ではレフェリー(審判)以外にもジャッジする人間がいるから、レフェリーの目を盗んで反則をすることはできない。

 

大相撲も行司だけでなく親方が勝負審判員として5人も陣取っている。

 

アントニオ猪木が70年代の頃から言っていた「プロレスに市民権を」という言葉を今一度思い起こす。