アントニオ猪木VS天龍源一郎の一騎打ち。時間無制限1本勝負の完全決着戦。

 

ついにこの時が来てしまった。

 

1994年1.4東京ドーム。リングサイドにはWARのセコンドと長州力が陣取っている。

 

魔性対レボリューション。運命のゴングが鳴ったが両雄は動かない。

 

睨み合い。何という緊迫感か。

 

腕を取り合おうとしたが、不用意に組まない。互いに入り込めない。

 

いきなり猪木がノーモーションの頭突き! 痛烈だ。

 

怒った天龍が顔面に張り手! 猪木が頭突き!

 

力比べ。猪木が脚を取る。天龍がバックを取るが猪木が上になる。ロープブレイク。

 

天龍が強烈な逆水平チョップ! 天龍がローキック、ローキック! しかし猪木が禁断の鉄拳!

 

レフェリーに抗議する天龍。パンチは反則だ。

 

怒りの天龍が痛烈な張り手から突っ張り突っ張り突っ張り延髄斬り!

 

先に延髄斬りを放ったのは天龍だ。天龍が逆水平チョップ連打からボディスラムに行こうとしたが、猪木は投げさせない。

 

猪木がまたもや鉄拳! 延髄斬り! 背後に回った猪木が魔性のスリーパー!

 

「チョーク、チョーク!」とタイガー服部が止めるが猪木は放さない。

 

天龍がダウンするが猪木は離れない。服部が強引に猪木を剥がしたが、天龍が大の字だ。

 

失神している。両目を閉じたまま起き上がれない。場内騒然。

 

猪木が攻撃しようとするが服部が止める。リングサイドで長州が服部を怒鳴っている。「早くしろバカヤロー!」

 

プロレスでチョーク攻撃は反則だ。これは総合格闘技ではない。

 

だから反則攻撃で失神した場合、試合を中断して天龍が起きるを待つしかない。

 

東京ドームのメインで、しかも皆が待ちに待った夢の対決だ。ここで試合終了では暴動では済まない。

 

気絶している天龍に猪木が歩み寄る。服部が止めると闘魂ビンタ! 

 

猪木が天龍をフォールしようとするが服部は認めない。カウントを数えない。

 

服部が天龍の顔をはたいても目を覚まさない。

 

すると長州が身を乗り出して天龍の顔面に張り手! 張り手! 天龍が目を覚ました。

 

天龍が場外にエスケープ。しかし意識が朦朧としてよろめいている。

 

WARのセコンドが天龍の顔を張ると、誤解したのか天龍が強烈な逆水平チョップでフェンスの外まで吹っ飛ばす。

 

ようやくリングに上がった天龍。試合再開だ。

 

猪木が構わず鉄拳! 鉄拳! 怒った天龍が突っ張り突っ張り突っ張り突っ張り突っ張り延髄斬り!

 

猪木も延髄斬り! しかし天龍が激走して全体重を浴びせたラリアット! 猪木も吹っ飛んだが天龍も吹っ飛び場外に落ちそうになる勢いだ。

 

まだ朦朧としている天龍がダウン。猪木が必殺卍固め! リング中央で決まっている。天龍が強引にぶん投げた!

 

天龍があびせ蹴りを放ったが、猪木がすぐに腕十字固め! 天龍が苦悶の表情。

 

何とかロープに脚をかけた天龍だが、猪木が技を解かない。天龍が絶叫している。これは危ない。服部が慌てて止める。「1、2、3、4」

 

猪鬼と化したか。

 

猪木が頭部にストンピング! キラー猪木が腕固め! ロープブレイク。しかし猪木は放さない。

 

「1、2、3」と反則カウントを数える服部に猪木が「何だこのヤロー!」

 

猪木の中ではもはやノールールの真剣勝負なのか。

 

そっちがそうならと天龍もボディに膝蹴り! 猪木の顔面に膝蹴り、顔面に膝膝膝膝膝!

 

ダウンした猪木に天龍がストンピング! 目には目を、歯には牙をとばかり、天龍も禁断の顔面キック! 顔面キック!

 

容赦なく猪木の顔面にキックを叩き込む。天龍が全体重を浴びせてパンチ! 猪木が場外に転落。

 

リングに戻った猪木に天龍がラリアット!

 

天龍が逆水平チョップ、逆水平、逆水平! 猪木をコーナーに飛ばして天龍が突進するが猪木がカウンターのあびせ蹴り!

 

猪木が鉄拳! またもや魔性のスリーパー! 服部が止めるが胴絞めスリーパーで離れない。

 

WARのセコンドが「反則だろ!」と怒鳴り散らす。ブレイクしたが天龍苦しい。立てない。目が泳いでいる。

 

怒りの冬木弘道が服部に猛抗議。長州だけでなく馳浩や佐々木健介も何やら怒鳴っている。

 

皆が異常な興奮状態だ。

 

猪木が顔面に張り手! 張り手! 天龍が逆水平チョップ! 猪木が鉄拳! 天龍が延髄斬り!

 

天龍が思い切り顔面を蹴り上げた! カバーの体勢。ワン、ツウ、猪木がカウント2.9で返した。

 

天龍が抱え上げてアバランシュホールド! 猪木がギリギリカウント2.9で返す。

 

猪木苦しいのか。

 

天龍が必殺パワーボム! そのままエビ固め。ワン、ツウ、スリーで返した猪木がボディプレスのようにカバーに入るが、パワーボムでスリーカウント入っていた。

 

天龍が勝った。

 

 

猪木の手を両手で握り、一礼する天龍。

 

猪木も抱擁で応えた。

 

マイクを持った猪木が「天龍。ありがとう、きょうは」

 

天龍もマイクを握り「猪木さん、もう1回やりましょう」

 

しかし、シングルマッチはこの試合が最初で最後だった。

 

馬場と猪木のBI砲両方からフォールを奪った日本人レスラーは後にも先にも天龍ただ一人だ。