1990年9月30日、横浜アリーナで夢のタッグが実現。
アントニオ猪木とタイガー・ジェット・シンがコンビを組んだ。猪木の故郷・横浜で一夜限りのドリームタッグ。
対するはアニマル浜口とビッグバン・ベイダー。
試合前、シンがサーベルを猪木に渡した。そのキセキのシーンを壊すように浜口がマイクを握り「燃えてるかー!」と絶叫。
わざとか、それとも空気を読めないのかは本人のみぞ知るだが「燃えろー! イノキ、イノキ! 燃えろー!」と叫びまくる。
結構歓声は上がったが、辻アナは「浮いても我が道を征く」とさりげなく悪口?
特別レフェリーはニック・ボックウィンクルが務める。
シンがコールされた時、今までにない大歓声が爆発した。
シンが猪木と肩を組み作戦会議。あり得ない光景がファンの眼前で展開されている。
嵐のような猪木コール。外も台風のようだ。最初はシンとベイダーのこれも夢の対決と思われたが、ベイダーが「カモン猪木!」
猪木が飛び出した。いきなりベイダーハンマー、ベイダーハンマー、ベイダーハンマー連打に大ブーイング。
構わずベイダーハンマー、ヘッドバット、チョップ、猪木をロープに飛ばすと見せてベイダーラリアット!
ブーイングの嵐の中、猪木をロープに飛ばしてベイダーラリアット・・・を交わした猪木が延髄斬り! 大歓声。
ベイダーが突進すると猪木がショルダースルーでぶん投げ、怒りの鉄拳! 鉄拳! 延髄斬り!
場外に転落したベイダーにシンがストンピング!
リング上。ベイダーが猪木にパンチ攻撃をして大ブーイング。ベイダーがヘッドロック。猪木が185キロをバックドロップ!
ベイダーが猪木をボディスラムで投げようとしたが猪木がヘッドシザース。しかしそのまま自軍のコーナーに運んで猪木を逆さ吊り!
逆さまの猪木に浜口がキック! ベイダーがアメフトタックル!
浜口が猪木をロープに飛ばしてランニングネックブリーカードロップ! シンがカットに入ると大歓声が起こった。
猪木が浜口にリバースインディアンデスロック! さらに弓矢固め! 崩れた。
シンが登場。浜口をロープに飛ばしてキック! 首4の字固め。シンコールが起こる。これは初めてか。
浜口が転がってロープブレイク。シンがストンピング! 浜口がヘッドバット! シンをコーナーに飛ばしてエルボー!
ベイダーとシンが夢の対決。ベイダーハンマー連打! シンをロープに飛ばしてベイダーラリアット!
シンがダウン。ベイダーがロープに飛んでビッグバンクラッシュ! 危ないか。しかしシンがカウントツウで返した。
シンをコーナーに飛ばしてベイダーアタックをシンがボディにキックで迎撃! 猪木がベイダーにアームブリーカー!
猪木の金剛力。ベイダーを軽々とブレーンバスター! カウントツウ。
タフなベイダーがすぐに上になり、猪木の顔面にパンチ連打! ニックが止めると今度はヘッドバットを連発する。
浜口が猪木をロープに飛ばしてドロップキック! さらにヘッドロックにとると猪木がバックドロップ! 見事なブリッジだ。
猪木がコーナーにいるベイダーに「来いこのヤロー!」と歩み寄り、顔面に張り手! ベイダーが一発で場外に転落した。
猪木が浜口をロープに飛ばしてコブラツイスト! ベイダーがカットして大ブーイング。
シンが浜口にコブラクロー! 大歓声がわく。何と「落とせコール」が起こる。シンも初体験の連続だ。
ロープに逃れる浜口にシンがストンピングの嵐からコブラクロー! ニックが止める。「1、2、3、4」
シンが浜口をロープに飛ばしてコブラクロー! そこをベイダーアタックでカットして大ブーイング。
ベイダーが猪木にフライングメイヤーからグランドコブラのようなストレット技。猪木が苦悶の表情。シンがキックでカット。
ベイダーハンマー連発でカバーに入る。猪木がカウントツウで返すとベイダーがアバランシュホールド! カウントツウ。
猪木をコーナーに押し込み、パンチ、助走をつけてベイダーアタック! さらにエルボードロップ! シンが出て来てベイダーにキックを見舞うとニックが激怒して注意した。
浜口が猪木にヘッドバット、首筋にエルボー、エルボー! フライングメイヤーで投げ、ロープに飛んでギロチンドロップ!
カバーの体勢。カウントツウで返す猪木を浜口がボディスラムで投げ、ベイダーがコーナーポスト最上段からダイブしたが、猪木が腕を取って腕十字固め!
浜口がキックでカット。シンがベイダーにタックルして場外に落とすと、場外乱闘。
シンが本部席のゴングを持ってベイダーの肩を殴打! 反則攻撃なのに大歓声。
気を良くしたかシンはジェラルミンケースを持ってベイダーの肩に殴打! 反則負けになったら洒落にならないとばかり、セコンドの長州力がシンを止めている。
あり得ない光景の連続だ。
リングに戻ったベイダーに猪木が左腕を狙ってハイキック! ハイキック連打から卍固め! 浜口がロープに飛んでエルボーでカット。
浜口が猪木をベイダーにぶつけ、首固め狙うが猪木が返して丸め込んだが浜口が返す。
浜口が立ち上がったところを猪木が延髄斬り! 決まった。シンがベイダーにタックル! ベイダーが場外に転落。
猪木がカバーに入り、カウントスリー! 猪木・シン組が勝った。
何と猪木とシンが笑顔で抱擁。猪木コールが巻き起こるなか、長州と藤波が騎馬戦のように猪木を担ぎ上げた。
マイクを持った猪木がシンに「グッドフレンド」と言うと、シンも「猪木は最高のライバル」と称えた。
このままシンはベビーフェイスになるのかと思ったが、それは甘かった。
稀代のヒールは再び狂乱ファイトを展開することになる。