1979年11月30日、徳島で王者ボブ・バックランドVS挑戦者アントニオ猪木のWWFヘビー選手権試合が行われたが、途中でタイガー・ジェット・シンが乱入。
リング下のシンに気を取られた猪木をバックランドがアトミックドロップ! そのままカバーに入ったが猪木はカウントツウで返した。
ところがバックランドはスリー入ったと勘違いし、ガッツポーズ。すかさず猪木がバックドロップを炸裂させてバックランドからスリーカウントを奪い、WWFヘビー級王座を奪取した。
納得いかないバックランドは、12月6日、蔵前国技館で新王者の猪木に挑戦した。
61分1本勝負。レフェリーはミスター高橋だ。
序盤、猪木がアームロック、フェイスロック、レッグロックと得意な攻めでバックランドのスタミナを奪う。
猪木がコブラツイストを決めるが、バックランドが思い切りぶん投げた!
バックランドがレッグロック、トーホールド。猪木はヘッドロック。バックランドがロープに飛ばしても猪木はヘッドロックを外さない。
猪木の執拗なヘッドロック攻撃が長く続く。猪木はフライングメイヤーからの首4の字固め。徹底した首攻めか。
バックランドが技を外したが、猪木がモンキーフリップで投げ、エビ固め。バックランドが切り返してエビ固め。猪木が返す。
猪木がヘッドロック。バックランドが猪木を抱え上げて、ハイアングルバックドロップ! 両者ダウン。バックランドがカバーの体勢。カウントはツウ。
猪木がダブルアームスープレックスを狙うがバックランドがロープ。離れ際。猪木がヘッドバット! バックランドが場外に転落。
エプロンに上がるバックランドに猪木がロープ越しのブレーンバスターを狙うが、バックランドが逆に猪木を高々と上げて場外へブレーンバスター・・・危ない!
粘った猪木がブレーンバスター! コーナーポスト最上段から猪木がダイビングニードロップ・・・はバックランドがよけた。
両者ダウン。猪木がカバーに入るがカウントツウ。
バックランドは猪木のボディにヘッドバットからサイドスープレックス! カウントツウ。
さらにパイルドライバーを狙うバックランドを猪木がリバーススープレックスで返した。バックランドはブリッジから逆さ押さえ込み。猪木がカウントツウで返す。
猪木が場外にエスケープ。脇腹を押さえている。サイドスープレックスで痛めたのか。
リング上。猪木がドロップキック! ドロップキック2連発! カバーに入るがカウントツウ。
猪木がロープに飛ばしてコブラツイスト! 決まっているか。しかしバックランドが技を外してダブルアームスープレックス!
20分経過。猪木が脚を取るがバックランドがキックで倒す。猪木がしつこく脚を取るがバックランドがキック!
諦めない猪木は脚を取って足4の字固め! バックランド苦しい。
バックランドが逆4の字に切り返し、何と腕立て伏せ。ロープブレイク。
猪木がアリキック! 効いている。アリキック! バックランドがボディスラムを狙うが猪木が浴びせ倒してカウントツウ。
猪木がバックを取ってフルネルソン。バックランドがぶん投げた! 猪木がフロントスープレックス! カウントツウ。
勝負に出た猪木が痛烈なヘッドバット! 効いている。ヘッドバット! バックランドがふらつく。ヘッドバット! バックランドがダウンして猪木がカバーの体勢。
しかしバックランドがカウントツウで返すと猪木が場外まで吹っ飛んだ。
猪木がリングに上がろうとすると四つん這いのバックランドが思い切り猪木にヘッドバット!
リング上。バックランドがジャンピングパイルドライバー! 強烈。カウント2.9で猪木が肩を上げた。危ない。
25分経過。バックランドが猪木を抱え上げてカナディアンバックブリーカー! 猪木がコーナーを蹴ってリバーススープレックス! カウントツウ。
猪木がキーロック。バックランドは技をかけられながら持ち上げてコーナーに乗せる。何というパワーか。
ここでまさかのタイガー・ジェット・シンが乱入。マサ斎藤と上田馬之助もいる。バックランドが猪木を場外に放り投げた。
シンが猪木に襲いかかる。場内騒然。
猪木がエプロンに上がると、バックランドがロープ越しに猪木を抱え上げて、アトミックドロップかと思ったら、猪木の股間をトップロープに叩きつけた!
猪木ダウン。そのままバックランドがカバーの体勢。カウントスリー!
ボブ・バックランドが王座奪還。
ところが、新間寿がリングに上がり、ミスター高橋ともめている。
シンの乱入と、技ではなく急所攻撃ということで、このスリーカウントは認められず、ノーコンテストだと新間寿が主張。
ミスター高橋はカウントスリー入ったと譲らない。バックランドもベルトを手にして、奪い返そうとする永源遙をベルトで殴ろうとする構え。
バックランドはベルトを腰に巻き、王座奪還を主張する。もめにもめるリング上。
ついに新間寿の判定が通り、ミスター高橋の裁定が覆り、ノーコンテストで猪木の初防衛となった。
しかし、猪木はこの判定に納得できず、ベルトを返上した。
二度もタイガー・ジェット・シンの乱入で試合を壊されてしまった。好勝負が台無しだ。
稀代のヒールには、世界3大タイトルの一つ、WWFの権威も関係ないのだろう。
せっかくのいい試合が、何とも後味の悪い結末になってしまった。