1984年9月11日、東京後楽園ホールで行われたUWF実力NO1決定戦。時間無制限1本勝負。
スーパータイガーVS前田日明。
この試合は本当に素晴らしい内容で、ガチガチの格闘技とプロレスリングのちょうど中間の「ミディアム」という感じの試合で、私の好みの格闘プロフェッショナル・レスリングだった。
グローブをはめたらそれは総合格闘技でプロレスではないし、ショーアップし過ぎるのも好きではない。
この時はまだ「不仲?」になる前だったので、互いにクリーンファイトで、格闘技色の強いプロレスだけど、普通にプロレス技も炸裂する本当に面白い試合になった。
タイガーコールと前田コールが飛び交う。特に「前田さん頑張って!」という女性ファンの声援が数え切れないほど飛んだ。
ものすごい人気で、会場はずっと湧きっ放しだった。
序盤はキック合戦。そしてアームロックやレッグロックや腕十字など関節技の攻防。
時折スーパータイガーが前田日明にニードロップやサマーソルトドロップを炸裂させる。
前田日明もボディスラムで叩きつけて、体固め。カウントワンで返すスーパータイガーの腕を取ってアームロック。
第1次UWFはまだプロレス的なシーンが見られた。
いよいよ勝負に出たか、前田日明が猛然とミドルキック連打、ニーパット連打、腰投げから腕十字!
その後もスーパータイガーの痛烈なアームロックや前田日明の腕十字など、あわやギブアップかというシーンが何度も訪れる。
前田日明の三角絞めをスーパータイガーが強引に持ち上げてパワーボム気味にロープブレイクに持ち込む。プロレスだ。
15分経過。スーパータイガーが前田日明の首筋あたりにエルボーからバックを取ってバックドロップ!
立ち上がる前田日明の頭部にスーパータイガーの強烈なハイキックが完璧に入ってしまった。さらにスーパータイガーが腕十字で前田日明を窮地に追い込む。
前田日明もお返しにミドルキックからハイキック! スーパータイガーがダウン。前田日明は十八番のダブルアームスープレックス!
ならばとスーパータイガーもツームストンパイルドライバー! コーナーポスト最上段からのムーンサルトプレス!
激しさを増す両雄。スーパータイガーが前田日明のボディにソバットを炸裂。前田日明もローキックからハイキック、フライングニールキック!
さらに前田日明がフロントスープレックス! そして前田日明がまさかの卍固め! スーパータイガーはリバーススープレックス!
スーパータイガーが決めに行く。背後から前田日明の腕と顔を決める必殺技・チキンウィングフェイスロック!
前田日明がギブアップし、18分55秒、スーパータイガーが勝利した。
熱い激闘。凄まじい死闘。スーパータイガーと前田日明は握手を交わし、抱擁し、前田日明はスーパータイガーの腕を上げて勝利を称えた。
こんな時代もあった。
しかし、この二人はその後、遺恨剥き出しの不穏試合を演じてしまうことになる。