映画「記憶にございません!」は想像以上に面白かった。「想像通り」「予想通り」ではまだ普通だ。
映画でもドラマでも小説でもプロレスでも「想像以上に面白い」というのが大事だと思う。
全シーン三谷幸喜ワールド全開で、キャストもお馴染みの顔ぶれが多い。
黒田啓介(中井貴一)は史上最悪の総理大臣。ところが記憶を喪失したことをきっかけにして、誠実で、不正をしない清潔な総理に生まれ変わる。
総理夫人の聡子(石田ゆり子)があまりにも綺麗なので驚いた。
2019年公開の映画だから昔の作品ではない。綺麗というだけでなく、可愛い。キュート。
年齢を重ねても美しい人はいるが、石田ゆり子さんの場合は美人なだけではなく、若い女性特有の可憐さが残っているから反則だ。
さすがはキセキの51歳。
古郡祐(佐藤浩市)は敏腕のブンヤ。ナチュラルな演技が光る。佐藤浩市さんはこういう役が似合う。適役だ。
南条実(寺島進)は出番が少ないが重要役だ。久々にワイルドで怖い寺島進さんを見た。カッコイイ。
キャスター役が有働由美子アナとは最後までわからなかった。
アメリカ大統領・スーザンが木村佳乃さんだったとは、途中で気づいた。さすがは役者だ。
天海祐希さんにいたっては、どこに出ていたかもわからない。
やはり宿敵は強くないと盛り上がらない。鶴丸官房長官(草刈正雄)は手ごわい。
とにかく超豪華キャスト。
理想主義の秘書官・番場のぞみ(小池栄子)と現実主義の秘書官・井坂(ディーン・フジオカ)が喜劇の中でもリアリティを出していた。
政治家が理想を忘れたら終わりだ。しかし、綺麗ごとだけでは魑魅魍魎の政界では生きて行けないことも事実。
三谷幸喜監督の政治理念がストーリーの中で表現されていたのだろうか。
基本は喜劇だが、泣けるシーンもちゃんと用意しているのが三谷マジックだ。
わだかまりが解けて、黒田総理と聡子が抱き合うシーンは圧巻で、感動的なクライマックスになった。
「好きなタイプなんだ!」という言葉は、意外とハートをつかむセリフかもしれない。
とにかく面白かった。観て良かった。
「記憶にございません!」というタイトルも最適だと思う。