ファーストシーンとクライマックスとラストシーン。この3つは非常に大切で、私が一番難しいといつも悩むのがラストシーンである。

 

ドラマでも、最終回前までは本当に面白かったのに、肝心要の最終回で「あれ?」と滑ってしまうドラマがある。

 

やはりそれだけ見事に決まるラストシーンを描くのは難しいのだろう。

 

 

ラストシーンにもいろいろあり、完結する場合と、いかにも続きがありそうな終わり方もよくあるパターンだ。

 

最後まで結論を出さずに読者にテーマを投げかけ、考えさせられるようなラストシーンもある。

 

丸投げというか、ダイナマイト・キッドの強引な投げっ放しジャーマンのようなフィニッシュ。

 

 

映画のラストシーンもヒントになる。映画は小説を書くうえでヒントの宝庫だと思っているので、よく観ている。

 

好きなラストシーンは「ターミネーター」の1作目だ。

 

サラ・コナーがガソリンスタンドに寄り、まだ生まれていない息子のジョンに語りかける。

 

その時、見知らぬ少年がサラの写真を撮って、父が怖いと言い訳していると、お金を払ってあげる。

 

雲行きが怪しくなった空を指差し、少年が騒ぐ。サラがガソリンスタンドの男性に「今何て?」と聞くと、男性は「嵐が来ると」

 

サラは「わかってるわ」と決然と言い切り、嵐に向かって車が走り出す。

 

これから壮絶な死闘が待っていることを、サラは覚悟していた。

 

 

「タイタニック」のラストシーンも泣ける。世界が泣いた。

 

アニメ「君の名は。」はホッとするハッピーエンド。

 

「ロッキー」1作目の「エイドリアーン!」も感動的だ。スポーツ・格闘技もので主人公が必ず勝つとは限らない。

 

チャップリンの「独裁者」は深いメッセージが込められたラストシーンだった。

 

最後の演説は強烈な内容で、痺れた。「独裁者」のようにクライマックスがラストシーンというのもよくある。

 

今、ヒトラーを批判することは誰にでもできるが、チャップリンの「独裁者」はヒトラーが生きている時にヒトラーを風刺した。まさに命懸けの映画だった。

 

名優ロバート・デ・ニーロの「ミッドナイト・ラン」の大大どんでん返しも好きだ。

 

 

小説では、衝撃のバッドエンドもある。いつもハッピーエンドで同じ終わり方だと安心されてしまう。

 

私の作品も大半はハッピーエンドだが、まさかのバッドエンドもある。

 

ヒロインが絶体絶命の大ピンチに追い込まれても、最後は逆転してハッピーエンドというラストが多いが、ヒロインが悪に敗北したまま終わるという「まさか、そんな殺生丸な」という悲劇もあり得る。

 

悲劇といえば、トルストイの『アンナ・カレーニナ』は衝撃のバッドエンドといえる。本当に悲しかった。アンナに感情移入していた私は、ショックを受けた。

 

 

小説を書くなら、最高のファーストシーンと、最高のクライマックスと、最高のラストシーンを描きたい。

 

探究あるのみだ。