小説のファーストシーンは重要で、最初の1ページでいかに読者の心をつかむかが勝負。

 

読者が最後まで読んでくれるとは限らない。面白くなければ途中で読むのをやめてしまう。

 

だから最初の1ページで「これは面白そう」「最後まで読もう」と思わせたい。

 

そのためにもファーストシーンは最重要といっても過言ではない。

 

 

私は「はじめに」を書く時と書かない時がある。「はじめに」の文章で読者の心をつかむことができるなら「はじめに」を書く意味がある。

 

小説の始まりがいつも静かとは限らない。いきなりゴングと同時にドロップキックを狙う場合は「はじめに」は書かない。

 

プロレスでもゴングと同時にいきなり激走してラリアットを炸裂させるファーストコンタクトがある。

 

ザ・ロード・ウォリアーズは、暴走戦士の異名のごとく、控室のドアを開けた時から暴走し、花道を激走してリングへ向かい、ロープをくぐるとそのまま相手選手に突進して試合を始めてしまう。

 

「赤コーナー何々」というセレモニーもゴングも無視のストリートファイトだ。

 

小説でもゴングと同時にドロップキックはある。1ページ目からいきなり始まってしまうのだ。

 

長編によっては、最初に延々前置きが長く続くことがあるが、私はあまり好きではない。すぐに本題に入ったほうが乗れる。

 

映画「リーサル・ウェポン2」のファーストシーンは、マーチン刑事の叫び声から始まった。いきなりカーチェイスの真っ最中だった。

 

小説でも読者に心の準備を与えないまま、いきなり物語が始まるとグイグイ惹き込める場合がある。

 

私がたまに使う手は、ヒロインがシャワーを浴びている場面から始まる反則的なファーストシーンだ。

 

あるいはヒロインが朝、目が覚めてベッドから出たら、一糸まとわぬ姿というファーストシーンもある。

 

勝つためならイスで脳天を殴打するし、チェーンで首を絞めることもあるのがプロレスラーだ。

 

もちろん金的蹴りのような卑劣な反則攻撃はやらないが、鉄柱にも叩きつけるし、放送席にも叩きつける。

 

意味不明なプロレス比喩はさておき、映画やドラマでもファーストシーンはヒントになる。

 

惹き込まれるファーストシーンがあれば、それをよく覚えておいて、小説に使う。

 

映画「カメラを止めるな!」のファーストシーンは、斧を持っているヒロインに、ゾンビが歩み寄る場面で「これは何だ?」と目を見張った。

 

洋画でよくあるファーストシーンは、当たり障りのない場面で音楽が流れ、結構長くキャストやスタッフの字幕が続くパターン。

 

あれは個人的にあまり好みではなく「早く始まれ」と思ってしまう。

 

「ターミネーター」のように主題曲自体が衝撃的なサウンドならば、それでも十分インパクトがあるから好きだが。

 

小説は音楽を流せない。音楽が聴こえてくるような文章を書くのもプロの仕事だが、これはなかなか高度な技で難しい。

 

ともあれ、インパクトのあるファーストシーンはどういうものか、常に研究している。