私はもちろん、小説を書く時には創作ノートにプロットを作成する。

 

プロットとは小説全体の設計図で、物語の筋書き、構成、構想のこと。

 

例えば序盤で伏線を張り、後に回収する手法はミステリー小説以外でもよくあるが、これを記憶力だけでやるのは危険過ぎる。

 

特にミステリー小説の読者は厳しい人が多いので、僅かでも矛盾があれば、そこを指摘してくる。

 

もっと良くないのは、伏線を張りながら、それを忘れて最後まで回収することなく小説が終わってしまうことだ。

 

伏線の回収。すなわち謎解きを待っていた読者は思い切り肩透かしを食らう。

 

実は、プロが制作しているはずのテレビドラマでもそういうことがある。そういうミスを防ぐためにもプロットを作成することが重要になる。

 

 

私は創作ノートにタイトルを書き、登場人物の名前と詳細を書いていく。

 

気分は映画監督で、この役を誰に演じてもらおうかとキャストを決める気持ちだ。

 

これから新作を書き始めるためのプロット作成は心躍る作業だ。

 

登場人物が多ければ、作者でも全てを覚えきれないこともあり得る。

 

名前を間違えて書いたら大変なので、プロットはそれを防ぐ役割を果たす。

 

実例を挙げると「激村創(げきむら・はじめ)54歳。198センチ。135キロ。漫画家」と名前だけでなく特徴も書く。

 

身長は重要で、劇中に身長を書かなくても作者がその登場人物の姿をありありと目に浮かべながら書くことが大事だと思う。

 

体重は標準なら書かなくても問題ないが、135キロというのは明らかに標準ではないので、その場合は体重も書く。

 

男性で短髪なら特に書かないが、女性の場合は、ロングかショートかセミロングか、ヘアスタイルと長さはかなり重要だと思うので、自分で間違えないように書いておく。

 

例えば、髪を束ねているとわかれば、読者はポニーテールを想像して読んでいく。小説好きの読者はなるべく顔や姿を想像して読みたいのだ。

 

ほかには「8階建てのマンションの3階で独り暮らし」「3階建ての一軒家で家族と暮らしている」など個人の情報を書き込む。

 

人間の記憶はあてにならない。「あれ、マンションの何階だっけ?」とうら覚えで、序盤で2階に住んでいたのに、後半で3階に住んでいたらアウトだ。

 

刑事小説なら「警部補」「巡査部長」など階級を書いたり「刑事課長」と役職を書く。「警部補」がいつの間にか「警部」に昇進していたら大きなミスになってしまう。

 

 

本タイトルのほかに、章タイトルを決める場合もあるので、これも創作ノートに書く。

 

章タイトルは目次に載るので、本タイトルを決める時の真剣さで考える。読者が目次を見た時に「読みたい」と感じる章タイトルをつけたい。

 

「あらすじ」や「著者紹介」などを自分で考える場合もあるので、はやり創作ノートは必要だと思う。

 

 

私のプロットの書き方は、場面を順番に書いていく。

 

実例を挙げると「2階の仕事部屋」「編集部」「家の外」など、執筆しやすいように場所を書く。

 

ただ、一度決めたプロットは、頑なに守るということはしない。

 

映画の撮影でも、脚本通りに確実に撮るとは限らない。現場で俳優がアイデアを出し、監督が了承して変更することもある。

 

小説も同じで、プロットを作成して、それを見ながら執筆しても、途中で新しいアイデアが浮かび、変更することはよくある。

 

最後まで妥協せず、より面白くなるなら変更する。

 

プロットを書かずにいきなり書き始めてしまう天才的な作家もいるが、私にはできない。