もちろん、みんなに言われなくても連日のように問題になっている尖閣諸島、中国との軋轢。

日本にいて、テレビを見ている人達は、これでもかと流されている中国の反日デモの様子もご覧になっているだろう。
もちろん、youtubeでもいくらでも見れると思うので、見てみるのも良いかもしれないけど。

ここで、どれくらいの人数なのかはっきり分からないが、騒ぎ立てているプラカードに書かれて、目にするのが

『日本鬼子』 の文字だ。 まぁ、鬼子ってのは、悪いヤツとか悪者、鬼畜、悪人 っていうような感じで訳すのがいいと思うのだけど、決していい言葉ではなく、侮辱的な表現である事は間違いない。

ただ、最近の若者の中では、そこま重い差別表現として使っているという自覚がないのも現状ではないかと個人的には思っている。 台湾の若者達なんかは、鬼子(グイズ)って言葉を悪ふざけで使っている子達もいるし、昔ほどの侮辱的な言葉はなくなっているんだけれども、『日本鬼子』と日本を名指しにするのは、とてもじゃないけど、差別用語ではある。

単純に例えてみると、『シナ』 とか 『チャイ』 とか日本語で中国人を揶揄する表現と一緒だろう。英語で言えば、ジャップとかファッキンジャップ!とか、所謂スラングである。

日本ではスラング(隠語)という概念が少なく、どっちかというと専門用語とか身内や職業柄の隠し言葉ってイメージがあるかもしれないけど、スラングっていうのは、絶対に公の場で使ってはいけないような言葉とか放送禁止用語でもある。 あまりにも自覚がなさすぎて、例えば、『きちがい』とか『部落』とかがスラングだって事も知らない人も多いのではないだろうか。

ちょいと話が脱線してしまったけど、ジャップにしろニガーにしろ、ファックにしろ。これは英語だから、日本人にはどれくらいの意味を持つ言葉かはっきり分かっていない人は多いだろう。

というか、このスラングは仲の良いうちわでしか使ってはいけないし、公の場で言う事なんて、まず許されない。

そして、同じく『シナ』とか『チャイ』とか、いやこれはイケルだろうと思われる『シナそば』なんてのも、正直言語道断だ。 私達が大好きな『スシ』 を 『ジャップライス』なんて言われたら、ちょっとひくだろう!?

ここでクルリンぱっ!と話を、『日本鬼子』に戻すけど、正直日本人には何のことかわからなくても、それを言われて笑い続けていたら、こいつら頭おかしいんじゃないか?とか思われるだろう。

せめて、中国語とはいえ、悪口くらい知っててもいいと思うし、悪口言われてヘラヘラしてる、というか、ぽかんと口を空けていたら、ちょっとキチガイなのか、と思われても仕方ないと思う。

本来は『日本鬼子』なんて、書かれたプラカードは、モザイクものだろう。 もちろん、日本では時として出るけど、ファックの言葉やFuckはモザイクまたは、ピーが入るべきだとも思う。

ただし、ここで日本鬼子とかって言われたからって、逆上したり、キレたりしたら、相手の思うつぼだけど、びっくりしたのは、『日本鬼子を萌えキャラに』  という発想だ!!

ようするに、日本鬼子という、差別用語を ヒノモト オニコ という架空の萌えアニメキャラを作ってしまおうという発想である。

これの、何がすごいのかというと、まずはこの情報量合戦の世の中、別のプライオリティのキャラクターを作って、ネットで検索したときにトップで出てくるようにするというもの。

これで、もし日本鬼子の意味がわからずに、ネットで調べた際に、萌えアニメキャラが出現して、侮辱的用語の効力を弱めてしまうどころか、場合によっては意味が分からなくしてしまおうというもの。

本当は、日本鬼子の意味が明確に理解を出来ればいいのだが、そもそも差別をしてても、されてもなにが差別であるかという概念がない日本人にとって、説明するのも理解してもらうのも、特に政治に興味のない人に理解してもらうのは至難の技。

逆にそんな事を言われても平気なのか?という気持ちさえも起こらなくなってしまう、可能性がおおいにある、萌えキャラ作戦は、肉弾戦ではなく、情報戦争の戦略としては、案外スマートなのかもしれない。