ごきげんよう!さわこです

この本を読みました。

久しぶりの読書の紹介です。

 

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知らなかった「言葉」がたくさんありました。

例えば

新自由主義、ショックドクトリン、アウトソーイング、ティックトック、スーパーシティとは・・・

どれもこれも。わからない。

 

ぼんやりと感じていただけのことが、知識となりました。

 

先日、堤さんの講演を誘われて聴いて来たのですが、

ついていけない所もありました。

 

購入した友達が、

「先に読んでいいよ。

線を引いて読んでくれていいよ」

と、貸してくれました。

彼女の好意に報いるためには、きちんと読まなくてはね。

 

それで、線を引き、付箋を貼って、読みました。

こうして、やっと、堤さんの講演の内容が理解できました。

 

以下、私のつたないまとめです。

 

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デジタル・ファシズム〔日本の資産と主権が消える〕堤未果著 覚書 2021、12,8

 

第1部のまとめ

 

①     ビッグデーターや5Gなどの新しいデジタル技術はプロセスを高速化し、専門外の住民は蚊帳の外になっていく。

ここは注意しなければならない。 利便性とスピードを重視し過ぎた先にあるのは「公共」の概念が消滅する世界だからだ

 

②     公共サービスを民営化し、地方自治を段階的になくすことは、デジタル時代にビジネスを展開する民間企業群には不可欠なプロセスだ った。なぜなら、地方自治体には、彼らにとっては喉から手が出るほど欲しい金脈である。

自治体解体論は過去数十年の新自由主義政策の総仕上げだった。

 

③    公共の切り捨てによる弊害は、平時ではなく有事に表れる。

 

④     コロナ禍で、目に見えてきたのは、2007年以降の10年間で半分に減らされた全国の保健所や公立病院の補助削減のしわ寄せだ。

 

⑤     自治体の解体、公共部門を民間企業のビジネスにするアウトソーイング、公務員削減世非正規化、住民の個人情報保護法の規制緩和。

これらの点を結ぶと、世界企業がビジネスをしやすい環境を目指す新自由主義政策。

 

⑥     デジタル化の中で、本当に守るべきものとそうでないものが見えて来る。

デジタル化が進めば進むほど人間は分断されて行く。

行政がデジタル化されると、個人情報が管理され、プライバシーが奪われる。

見えない貧困層をふやさないために、「明日は我が身」という想像力と、御互いさまの公共精神こそがデジタル化には不可欠。

 

●フィリピン政府の電力民間企業委託の「落し罠」事件

民間企業に中国の「国家電網公司」の資本が入っていたために、送電網を動かしているサーバー設備が中国の南京市に移されていた。

フィリピン政府が気づいたときにはもう遅かった。

 

◎     サーバーを制するものがデジタルを支配する。

 

⑦     日本も、政府・軍関係(自衛隊)・金融・教育に関わる重要施設のデジタル事業を米系・中国系企業に依頼する時には、きわめて慎重にならなければならない。

 

デジタル化の先頭を進む中国にとって、フィリピンの電力の様に、他国の基幹インフラに入り込むことは極めて重要だから。

日本もフィリピンのようにならないように。

 

◎     中国は、デジタルを入り口に世界の覇権を狙っている。

 

◎     行政のデジタル化は、安全保障面で高いリスクが付きまとう。

 

◎     国が検討すべきことは、規制を外すことよりも、他国の例を検証したうえで、国益と国民を守るための規制を早急に整備する事。

 

◎     情報が一箇所に集中すると、外部からの攻撃に弱くなる。

 

◎     国民が自分のデーターを、いつでも削除できる権利を持つこと。

 

◎     安全保障にかかわる分野で、攻撃されてから考えましょう、では済まされない。

 

●エストニアの例から学ぶこと

⑧政府と国民の信頼関係、情報の扱い日関する機密性と透明性、国民の個人情報を責任をもって守る公的な仕組み、安全保障の意識があってこそ、デジタル政府は国家の繁栄に結びつく。

 

●個人情報は「性悪説」で守るべし。

 

⑨これから自分の住む自治体の行政サービスはすべてデジタル化され、マイナンバーポータルの集約される時、大事な個人情報は、誰も守ってくれないと思った方がいい。

ならば、自分で行動を起こすしかない。

勝手に使われたくなければ、自治体議員や役所の人に、自分の意志をはっきりと伝えておこう。

大事な個人データーを勝手に使われてからでは取り返しがつかない。

 

⑩     市民にとっての朗報。スーパーシティは自治体が主体。

たとえ国レベルで、総理大臣やデジタル改革担当大臣がどんどん進めたとしても、まだ自分の住んでいる自治体でストップはかけられる。

 

●カナダのトロント市の例

⑪ 2017年、トロント市はgoogle系列企業にデジタル歳建設を発注した。

カナダ政府もトロント市も企業にすっかりお任せで、

マスコミも「夢の都市計画」「住民目線のニーズに応えた新しいライフスタイル」などと礼賛、計画は着々と進んでいた。

 

だが、人々は次第にこの計画の負の部分に気づき始めた。

 

街中にセンサーを張り巡らし、住民の行動を逐一スマホから追跡し、収集した膨大な個人データーが「都市づくりの参考資料としてgoogleの姉妹会社に送られると言う。

次第に反発する声があふれ始めた。

 

プライバシーや個人情報の問題もさることながら、利便性と引き換えに自治や主権を差し出すことへの不信感、デジタル都市計画に対する反対意見は日増しにネット上で高まって行く。

 

その結果、Googleの姉妹会社は、2020年5月にトロント市からの撤退を発表、計画は中止に追い込まれた。

 

 日本も、メリット、デメリットを理解したうえで、ここまでは譲れないというラインを決めて、行政や政府に私たちの声を届ける手段はまだ残されている。

 

トロント市の例は、デジタル化のメリットにばかり目がくらんだ政府に引きずられず、公共や自治、個人情報や主権といった目に見えない大切な資産を守りながら、真に公益に適う制度設計をするためのモデルケースになるはずだ。 

 

◎デジタル政府に必要なたった一つのことは「公共」の精神なのだ

 

◎デジタル先進国のエストニアの国民が教えてくれたように、政治家の横文字での美辞麗句を鵜呑みにせず、システムそのものを「性悪説」で設計することが肝心だ。

 

◎ショックドクトリンとは?

日本語では、惨事便乗型資本主義のこと。

意味は?

戦争や災害などが起きた時、その混乱に便乗し、政府やグローバル企業、銀行や投資家などの利権につながるルールを一気に導入する新自由主義手法のこと。

 

◎オンライン会議ツール「Zoom」は、

セキュリティ上の問題があるとして世界各国が警戒している。

「Zoom」の暗号化キーが中国の北京にあるサーバーを経由していた。

 

◎「T i k T o k」とは?

生体識別情報を自動収集する、中国企業の動画共有アプリのこと。

生体識別するための認証方法。

 

●各国で警戒対象となっている。

不正に使用されると精巧な偽造パスポートも作れるので、なりすまし被害が起きて深刻な問題を引き起こす。

 

2020年8月27日の記者会見で

菅総理は「特に問題はなく、規制は検討していない」と。

こうした分野の専門知識がない政治家が大半を占めている日本の政界で、予算と権限と国民のデーターが集中するデジタル庁は、米中などの企業に「宝の山」と呼ばれ狙われている。

 

◎デジタル庁とは?

●2021年5月12日、63本の法案を束ねた「デジタル改革法案」が参議院本会議で可決された。

 

デジタル庁の特徴は

1、権限が大きい。内閣の直轄機関、デジタル改革担当大臣は内閣総理大臣を直接補佐する立場。通常は閣議決定を通さないと出せない他の象徴への勧告も、直接出せる強い権限が、デジタル改革大臣には与えられている。つまり、内閣府より上位に位置する省庁。

 

2、巨額の予算が付く。

 

3、民間企業との間の「回転ドア」の存在。600人の職員のうち200人の管理者・技術者を民間企業から迎え入れる。

つまり、回転ドアをくぐるように、民間企業と政府の間を自由に出入りできるようにして、今の仕事をやめずに柔軟に働いてもらおうという方式。

企業から出向してくる人たちが、政策決定の場に入る。

自社に都合のよい政策を誘導できる。

そして会社に戻ると出世の階段を昇って行く。

政府の内情もわかるので、情報漏洩も危ぶまれるポジション。

企業側に有利な仕組みによって、巨額の税金が企業に流れ続ける。

 

●     政府のデジタル化にアマゾンの性能が優れているとして外国資本に依頼している。

だいじょうぶなのか?安全保障に関わり政府システムを他国の民間企業に任せるという世界でも珍しいケースである。

本当にこれで良いのか?

 

●     アマゾン・グーグル・アップル・フェイスブック・マイクロソフトこれらのテック大手のグローバル企業は、「言論封鎖」という暴挙を実際行って国家を超える権力を持とうとしているのだが・・・

 

●     アメリカ政府は、米国内に本拠地を持つ企業に対して、国外に保存されているデータであっても令状なしで開示要求ができる。

 

●     中国政府には、「いかなる組織も人民も政府が要求すればすべてのデータを提出しなければならない」という国家情報法がある。

 

●     デジタル化を通して日本人の個人情報という資産を売り渡す「日米デジタル貿易協定」。米政府が要求すれば企業の持つデータがいつでも開示される「クラウド法」。

 

●     いま、各国の政府が独自のデジタルシステム構築に必死で力を注いでいる理由がここにある。

 

●    今、日本に最優先で求められているのは、焦って外国の資本に投げるのではなく、安全な国産システムや人材育成、セキュリティ体制の整備なのだ。

 

●     なぜ、こんなにリスクの多い形でのデジタル化を日本政府は拙速に進めるのだろうか?

 

◎スーパーシティ法とは?

この重要法案は、2020年5月27日賛成多数で可決、成立。「日本デジタル化計画」は、一気に加速。

「国家戦略特区法」(企業が自由にビジネスを展開できる法案)にデジタル技術を加えたものを「スーパーシティ」という。

スーパーシティは、企業天国。どれだけ「市民目線の」などというキャッチフレーズを掲げても、公共サービスでない限り、企業には非常時の最終責任はない。

(だから住民を守るための規制が必要なのだ)

 

●     公共サービスの民営化・地方自治を段階的になくしていく、自治体の解体が、損自由主義政策の総仕上げ。

 

●     1980年代にアメリカ政治が新自由主義に乗っ取られ、先進国は公務員抑制を開始。

日本も1990年代のバブル崩壊以降、国強部門は非効率だとする政府と公務員批判の過熱。

「民営化で無駄をなくせば、料金は下がりサービスの質は上がるはずだ」

という小泉純一郎元総理や、竹中平蔵経済財政政策帰還担当大臣の掲げる改革スローガンを皮切りに、国立大学は独法化、郵便局は民営化、労働者は正規から非正規へ。

公共事業はアウトソーシング(外部委託)が増えて行った。

 

(あの時、私は、なぜ民営化しなければならないのかわからなかった。なぜ、小泉さんが支持率が高いのか、理解できなかった。世論を煽り立てていて、ヒットラーみたいだって思っていた。・・・あの時の直感、はずれてはいなかったんだ)

 

●     その結果、国家公務員数は81万人(2001年)から28万人(2017年)と7割減。日本派公務員数が先進国でも飛びぬけて少ない国になった。

だが、公共の切り捨てによる弊害は、平時ではなく有事に表れる。

 

●    デジタル化が進めば進むほど、人間は分断されて行く。

 

行政がデジタル化されると、個人情報を管理され、プライバシーを奪われる。

公共サービスのセーフティーネットからこぼれ落ちたら最後だ。

この社会の中で疎外され困窮している人々の姿は見えなくなってしまう。

 

副タイトルの

「日本の資産と主権が消える」には、身震いしました。

聖書には

「受けるよりも与える方が幸いである」

「相手の望むことをしてあげなさい」

とか、ありますが・・・

国際関係において、適用すべきことではありません。

身近な人を対象としている教えです。

と私は、思います。

「中国が欲しがるならば、尖閣も沖縄も北海道もあげましょうよ」ではないですものね。

 

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マラナ・タ

1部をまとめるだけで、私の脳内はパンクしそうでした。

自分で買っていたら、積読になりかねなかった。

こう言うことも神様のお導きだと思いました。