ごきげんよう! さわこです

先だって読み終えた本、葉室麟 著「風渡る」
これは、前回読んだ「風の軍師」の前篇である。

読むのが後先になってしまったが、雑賀信行氏の「キリシタ大名黒田官兵衛」を読んでおり、戸惑うことなく楽しめた。
雑賀氏は100冊近くの参考文献をもとに書いておられたので、単純にご本人の想像やこうだったらいいな的内容ではない。
こうした予備知識をもって、葉室氏の時代小説を読むと、なるほど、なるほど、こういうところをこういうふうに想像をふくらませるのか・・・と興味深い。

キリスト教が、戦国の世に生きた武将たちに、どれほど精神的な影響を与えたのか、私はそこに関心がある。
それは、何故私はキリスト者となったのかという自分の精神史とも関連してくるのだ。



信仰が揺れに揺れて棄教してしまった武将もいる。
また、一部の宣教師の教えをそのままに受け止めて偶像礼拝や異教は罪悪だと寺や神社を破壊し尽くした大名もいる。

キリスト教の中に「神の愛」を見出して、日本という地において、また自分の置かれた立場において、神の愛に生きようとした武将もいる。

官兵衛は、高山右近のように、キリスト信仰を守り抜くために、日本からフィリピンに追放されたのではなかったので、棄教したかのごとくに扱っている歴史小説もある。

しかし、葉室氏は、フロイスの文献を引用しながら、秀吉の政権下でいかにキリスト教に生き抜くかを、知略をもって模索してきたという視点で書いている官兵衛像がそこにある。
歴史物語好きなクリスチャンにとって「風渡る」は魅力的な本だ。

「風」とは「聖霊」である。「神の命の息」である。
官兵衛のキリスト信仰をあらわしたタイトルに共感する。


マラナ・タ

風は思いのままに吹く。
あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くかを知らない。
霊から生まれた者も皆そのとおりである。
ヨハネによる福音書3:8


風渡る (講談社文庫)/講談社

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