1987年公開。当時は今のように、事前情報も豊かでなく、ネットもない故にネタバレもほぼ目にせずに観られた。この頃、レンタルビデオ屋が山ほど出来ていた時代で、ホントに沢山の作品を家で観た覚えがある。


コマンドーでシュワちゃんを知った私だが、どうしてもスタローンの方を贔屓にしていた。後にシリーズ化されるターミネーターだが、当時はまだ1作目しか上映されておらず、ロッキーやランボーがシリーズ化されていた分、スタローンにはロッキー・バルボアとジョン・ランボーという代表的なキャラクターがあったが、シュワちゃんはまだ単発作品ばかりだったのも大きな理由だった気がする。


ランボーやコマンドーのように、特殊部隊出身者が、誰かを救出するような映画だと思って、このプレデターを観た私は良い意味で裏切られ、一気に魅了される事になる。

物語の当初こそ、いつものパターンでゲリラからの味方の救出で進んでいくが、途中からただのアクション映画ではない雰囲気が漂ってくる。


不意に挟まれる敵らしきものの視線は、なんとサーモグラフィーでただ事ではない。さらに話が進んでいくと、どうやら透明に近い迷彩にカモフラージュしていそうだという事が分かってくる。今見るとかなりチープな迷彩だが、当時は充分に気味悪さを感じる事ができた。


人間相手なら、ほぼ障害を乗り越えられる仲間である事を冒頭で描き、その戦いのスペシャリストが1人ずつ殺されていくという、ホラー要素が強い物語の移り変わりに、この映画がSFホラーである事を知らずに見始めた私は、どっぷりと魅きつけられた。

ターミネーターやコマンドーで、無敵の機械や複数の敵を独りで倒していく男を演じたシュワちゃんが、多数の仲間を用いながらも追い詰められていく。それもたった独りの敵に。

作品単品だけでなく、それまでシュワちゃんが演じてきた役のイメージをも、上手く活かした映画だと思う。

今観ても、プレデターが迷彩で動く部分以外は、非常によく出来ていて古さを感じない。後世に残る作品というのは、色褪せないものだと思った。

これ以降のプレデター作品は、1作目ほどの評価を得ることが無いが、プレデターという異星人のキャラクターだけは非常に著名なアイコンに成長していく事になる。


団塊ジュニア世代にとって、ホラーと言えばジェイソンとフレディ、宇宙と言えばエイリアンとプレデターなのである。どのキャラクターも、シリーズ化され、シリーズの出来不出来は作品によってまちまちだが、それはあまりにもキャラクターが偉大すぎて、シナリオがキャラクターに勝てないという現象だったのではないかと思い返す。

とにかく、シュワちゃんがとことん追い込まれ、敵が宇宙人だった事に驚きすぎた逸品である。