機能解剖学的解説★ショルダープレスの手の向き
4月からスタート!
対面で・オンラインで学べる【部位ごと学ぶ】機能解剖学講座はコチラ
NESTA認定資格!
2日間で全身の筋肉を学ぶ機能解剖学講座はコチラ
SAWAKI GYM代表、
機能解剖学講師の澤木です。
機能解剖学コラムです。
いきなりですが、みなさんはショルダープレス(冒頭写真)はやりますか?
私は自分のトレーニングでも好きですが、お客様のパーソナルトレーニングでもだいたい入れています。
とくに中高年の女性のお客様には必ず入れています。
え?そんなにモリモリした肩(三角筋)はいらないだろうって?
もちろん筋肉をつけたくてやる人は多いと思いますが、私はとくに中高年の女性のお客様には「肩の機能性」を高める、維持する目的でプログラムに入れているのです。
日常生活で、腕を真上に上げ切る動作ってあまりないですよね。横断歩道を渡る時くらい?
人間の関節の機能は
使うか失うか
ですから、パーソナルトレーニング中には、普段行わないような動きを入れるのです。
しかし、ダンベルショルダープレスやマシンショルダープレスで肩が痛くなったという話は後を絶ちません。
なぜでしょう?
ここから機能解剖学的な解説をしていきますね。
人間の肩関節は基本的に、肩甲骨の面に沿って上腕骨を挙げる(肩関節外転)させるのが、最も負担が掛からないとされています。
*肩甲骨の面=Scapula plane(スカプラプレーン)真横からだいたい30°くらい前方
多くの人のショルダープレスのフォームを見ると、手が常に正面に向かっています。この場合、肘(上腕)が真横、あるいは少し後方(水平伸展位)に向かいやすくなります。
恐らくマシンやバーベルの構造上、手を前に向ける癖のままやっているのでしょう。
この時点で、とくに肩に痛みや違和感がなければこのままでも良いでしょう。
しかし、引っ掛かりがある、コキコキ鳴るなどの症状がある場合は、このフォームは止めておいた方が得策です。
ここでScapula planeが出てきます。
肘を少し前に出すようにして行ってみましょう。引っ掛かりが減りましたか?
このテクニックは、ラテラルレイズも一緒です。
また、手は頭の方に向け、腕を挙上するにつれ前に向けていきましょう(肩関節の内旋・橈尺関節の回内)。
実は、橈尺関節の動きと肩関節の動きは密接に関係しているので、前腕を動かさずに肩関節のみを動かそうとすると、そのギャップから、肩に負担がかかり痛めてしまうことがあります(インピンジメント症候群や肩甲骨関節窩の関節唇損傷)。
筋トレは、とかく見たものを真似するところからスタートしがちだとは思いますが、運動指導者が対価を受け取るサービスとして行う場合は、一歩踏み込んだ身体の知識を身に付けておきたいものです。効果を出すことはもちろんですが、最低限怪我をさせないために。
肩関節の角度、橈尺関節の動き…これらを押さえ、必要に応じてフォームをアレンジすると無駄な痛みを発症させずにショルダープレスを楽しめると思います。
是非、機能解剖学の学びを深めて、運動指導に活かして行きましょう!