入院物語２日目 後編

ベッドに横たわると、目の位置にセットされたモニターが見える。これに手術中映すのね…

顔には、左目だけ穴のあいた布、カラダには毛布らしきものが２枚、しっかりと掛けられました。オペ前には少し肌寒かったのが、のちの大汗をかくことに

耳を澄ますと流れてくるＢＧＭ

ＴＲＦ…「リアルタイム世代だから、これはリラックスできるな」

ＢＧＭの選曲は執刀医の趣味らしい。確かにリラックスしてほしい気が…

「さあ、はじめますねー」と先生。

麻酔目薬を点した後の、ワタシの左眼球に向かって麻酔の注射針がグサリ思ったほど痛みはありませんでしたが、意識がはっきりしているので、感触がよくわかりました。

ごにょごにょ…作業が始まったっぽいです。左目に意識を持って行くのが辛すぎるので、「気を紛らわすために別のことを考えよう」

…必須アミノ酸について考えることにしました。

…ネタが尽きたので、次は非必須アミノ酸それから、ＴＲＦを心で一緒に歌ったり。

サーバイバルダンス

今のワタシがサバイバルダンス状態

そんなこんなで、睡魔が…

「ビク！」注）寝ているときなるヤツ

「澤木さん、動いたら危ないので、絶対寝ないでくださいね」と先生。

遂に、寝てしまって手術からの恐怖から逃げる退路をも塞がれてしまいました

それから、どれくらい時間が経ったでしょう。とにかく時間の経過が遅いこと。

「イタ」

思わず声を出す私。結局時間をおいて２本の麻酔を追加してもらいました。

聞いていた手術内容…心臓の弱い方はご注意を

まず、網膜に穴を開けて、硝子体を取り除き…眼球内にガスを注入。そして、白目を外して、眼球まわりにシリコンのテーピング。最後に白目をもどして縫って終わり。

「もう少しですからねー」と先生。「早く終わってほしい！」汗だくの私はそう願うばかり。続いて「週末の野球は…」耳に入るのは３人のドクターたちのとてもリラックスした会話。不安になりながらも「リラックスしてもらったほうがいい手術ができるんだ、きっと」と心で念じました。

「終わりましたよー」

神の声に聞こえました。戦い開始から３時間３０分。無事に手術は終わったのでした。身動きの取れない３時間３０分の長く、辛かったこと

看護師さん「眼球のガスが抜けるまで目を下にして生活してくださいね」

言われた通り、病室に移送される車椅子の上、頭を下げてうなだれる私。まるで、コーナーポストで、真っ白になった矢吹丈のように…。

２日目、完。