「世宇酢さんの飼育箱」について

 

 

世宇酢さんは、
生き物を飼うのが好きで
身の周りには
たくさんの飼育箱がある。

 

 

 

どれも時間をかけて
大切に育ててきたものばかりだ。、

 

 

毎日、毎日
飼育箱の中を覗き込み、
元気に育っているか
観察している。

 

その中でも
特に気にかけてる
飼育箱に目をとめた。

 

中では、生き物が
以前と比べ
大量に繁殖し
どうも、よくない状態に
陥っていた。

 

飼育箱の中が
汚れはじめ、
生き物同士が
争いを始めたのだ。

 

 

生物の中には
様々なタイプがあり
このような過程を経て
成長していくものもある。

 

だから
世宇酢さんは、
毎日、静かに見守っていた。

 

けれど
長い間、観察を続けたけれど
一向に良くならなかった。

 

ひどくなる一方だったのだ。

 

これではダメだ。

 

しかたない。


この飼育箱は、失敗したのだ。


もう一度、別の生き物を育て直そう。

 

世宇酢さんは、
《COVID-19》と
ラベルに書かれた
殺虫剤を飼育箱の中に入れた。

 

 

 

 


これでリセットしよう。

 

それから、
飼育箱の中では
中の生物が少しづつ
死んでいった。

 

 

 

 

 


もうじき全滅する。

世宇酢さんは、
そうつぶやき、
忘れた訳ではないけれど、
他の飼育箱の観察に励んだ。

 

 

 

 

 

しばらくしてから
思い出したように
殺虫剤を入れた飼育箱の中を
覗いてみた。

 

 

 

もう生物は、
死んだものと
ばかり思っていたが
なんと生き残っていたのだ。

 

 

飼育箱の中の生き物
《人類》は
協力し合って
ワクチンなるものを開発し
お互いを助け合って生き延びていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

この強力な殺虫剤でも死ななかった。

 

なんという生命力。

 

このしぶとさがあり
協力し合う事を学んだのだから
この先は、大丈夫かもしれない。

 

 


世宇酢(ゼウス)さんは
この飼育箱は、
失敗ではなかった、
そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


おそまつさまでした。