レンタルして数年ぶりに見返しているドラマ。

一番好きなドラマであり、

主演、いしだ壱成演じる高校生、戸川博人(ヒロ)は、

当時から今もなお一番好きな役柄だ。



桜井幸子演じる新村萌香の、しっとりとした雰囲気と台詞も好き。

病弱で儚い設定ではあるが、彼女はまっすぐでとても強い。


「わたし決めたんだ、冒険しようって」


「わたしは、とっても雨が似合うから」


途端に雨風をも柔らかくしてしまう。



ストーリーは、

性も暴力も事件性も激しく絡み、展開も早い。

今の時代には再放送できないのが容易に分かるが、

それでも心に突き刺さるものがある。



この魅力をどう言葉にすればいいのか。



人間味と呼ぶには簡素すぎるし、

喜怒哀楽だけではなく、

弱さや愚かさ、脆さをも含めた、

「生きる」という生々しさか。



瞬間の感情を味わい尽くし、

自らの言葉と温度で表現し、

理性と衝動の狭間で葛藤する。



彼らは、生きている。



あれから25年。

いつしか大人になっていた。


矛盾なく生きることを諦め、割り切り、

置き去りにした心をようやく今、

ただ思い出そうとしている。



そんな私たちを、誰も嘲笑うことはできない。

必死に生きてきた軌跡を茶化すことなどできないのだ。



今日は第9話、

立て籠った学校から、報道プロデューサーに電話をかけるヒロの姿に涙がこぼれた。

その台詞を書き記して終わりにします。



世界に色が見えなくなってしまったら、

何度でも見返して思い出せばいい。



この、生きている目を。



「誰かと比べるのはやめてくれ。


すべてのことに対して、

他人と比べるような世の中が嫌なんだよ。

例えばそいつの傷を探して、

よってたかって開くような真似はやめて欲しい。

そいつは痛みをかばうために、

周りに攻撃的になるだろう。



例えば彼女に、

一つの価値観を押しつけないで欲しい。

彼女は絶望して、

一人ぼっちになろうとするだろう。



そいつは俺より偉くねぇし、

俺もそいつより偉くねぇってことさ。



いい家に住んだり、

いい車に乗ってるからって偉くねぇ。

ただそいつらはそれが欲しかっただけなんだよ。



東大出たからって偉くねぇ。

オリンピック出たからって偉くねぇ。

政治家だって別に偉くねぇ。

ただそいつらはそうなりたかっただけなんだよ。



努力しても駄目なことってのはあるんだよ。

どうしてもビリにしかなれないやつだっている。

人間はそれぞれ細胞ってやつが違うんだしね。


第一さ、

他人をけ落としてまで、

人より上に立ちたいための努力なんてさ、

ちっとも偉くなんかないんじゃないのかな。



俺たちは車やテレビじゃない。

他との性能を、嫌でも比べられちまう。

そんな視線には、

そんな社会にはもううんざりなんだよ。」
by ドラマ「未成年」




「俺たちは、ただ食って眠るだけの一生さ。

たいした差なんかあるもんか。

誰かを傷つけたり、騙したりしないですむなら。

そうさ…

俺たちにたいした差なんかありゃしねぇんだよ。」
by ドラマ「未成年」