なぜ、調味料の順番は「さしすせそ」なのか。 | Eisakuの食ブログ

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野菜ソムリエと食生活アドバイザーの資格を持つ僕が、持っている知識を披露しながら料理のレシピなどを書いていきます。

大学時代のレポートから、

「さしすせそ」とは、砂糖、塩、酢、醤油、味噌のことである。
 なぜ砂糖を最初に入れるかというと、砂糖と塩の分子量と拡散係数の違いから生じる。砂糖(ショ糖)(化学式:C₁₂H₂₂O₁₁)は分子量342、塩(塩化ナトリウム)(化学式:NaCl)分子量58・45、約6倍の差がある。分子量が大きいほど、味が素材の中までしみ込むのに時間がかかる。又、溶媒は水で25℃の時の、食塩の拡散係数は、1.09×10⁻⁵[㎠/sec],砂糖は、0.29×10⁻⁵[㎠/sec]である。食塩の拡散係数は砂糖の約4倍である。拡散係数とは、溶媒の中を、その物質がどの位の速度で拡散するかを見る数字である。拡散係数は、摩擦係数の逆であるので、数値が高ければ、それだけ早く広がる。又、分子量が小さければ拡散も早くなる。ここでは、食品中の拡散も水中と同じように考える。例えば、塩と砂糖を一緒に入れると、拡散係数が高い塩のほうが早く素材にしみ込んでしまい、砂糖は入れなくなってしまう。
 一部には、砂糖を塩より先に入れるのは、「浸透圧」の影響ではないかという見方もあるが、加熱調理では素材の細胞膜の半透性が失われるため、拡散による素材への浸入であると考えられる。
 しかし、砂糖は食品から水分を奪い取る力が大きいので煮物など、十分に柔らかくならないうちに砂糖を加えると食品が脱水状態になってしまうので注意が必要である。
酢は熱を加えると揮発して味が飛んでしまうので最後の方である。又、以前は鉄鍋を使っていたので、酢を早く加えると味が変わってしまうという理由もある。
醤油と味噌は製造工程の中で塩を入れるので分子量と拡散係数については塩と同じように考える事とする。又、塩より後に加えるのは醤油と味噌は香りを大切にする調味料なので最後の方がいいのである。そして、醤油と味噌はうまみ成分を含んでいる。このうまみ成分は吸水を遅らせたり、素材を煮しめたりしてしまう作用がある。この面からでも醤油と味噌を最後に入れる理由がある。
結論
・ 砂糖と塩の順番は分子量と拡散係数の違いによる。
・ 酢と醤油と味噌については香りが飛んでしまうので最後のほうになる。
・ 「さしすせそ」の「さ」と「し」の順番は重要だが、「す」と「せ」と「そ」の順番はさほど重要でなく、最後の方に入れればよい。
・ この「さしすせそ」は煮る料理などの素材に味がしみ込む料理には重要だが表面に味を付けるだけの料理にはあまり関係がない。
参考文献
http://www.asahi-kasei.co.jp/saran/lab/no.6/lab_k_6.html
http://homepage2.nifty.com/suzuki-kunie/bimigaku01.html