主人に見えないように、義母への電話ボタンを押す。

通話開始になったのを確認して、スピーカーにした。

 

それから、使用していない携帯で録音開始。

 

主人は何も気づかずに

「ほら!さっさと出て行けよ!!」

「一緒にいたくねぇんだろ!?ほら娘連れて早く出ていけよ!」

「オマエだけでも向こういけよ!!ほら!早く!!!」

と喚き散らしながら、ソファに置いてあったぬいぐるみを私に向かって投げてくる。

 

娘が寝室で遊び始めたので私も移動。

喚きながら後をついてくる男。

歩きながら扉を殴る男。

「娘に当たったらどうするの!?」「怪我したらどうするの!?」

「投げないでよ!」

とこちらもちょっと大げさに応戦。

 

なかなか現れない義母にLINEした。

「早く引取にきてください」

 

インターホンが鳴ったのは2時間後だった。

 

男は暴れ疲れ、二日酔いで体力もないのか

リビングのソファで寝ていた。

 

玄関先で泣きながら訴えた。

「もう限界です。」

 

今すぐ会って話しをするよ。

とりあえず連れて帰るから。

そんな事をしてほしかった。一刻も早く男と離れたかった。

 

それなのに、義母は

「何でこうなっちゃったんだろうなぁ」「う~ん」

「話し合いでどうにかなんねぇ?」「仲良くできねぇ?」

そんな事ばかり。

およそ10分。煮え切れない義母。黙ったままの長兄。

 

「じゃあ聞きますけど。

 あの電話の内容を聞いていて、

 分かりました。2人で話し合いますって言ったらこのまま帰るんですか?」

 

「なぁ、どうしたらいい?」と長兄に聞く義母。

「どうしたらいいじゃねぇよ!まず会って話聞くのが普通だろ!!親だろうが!!!」

 

と長兄に一喝され、しぶしぶ家の中に入った。