1年ぶりに貴方の車に乗り込む。

 

私はどんな顔をしているだろう。

貴方はどんな顔をするのだろう。

 

「お疲れ様」

 

何年経っても

何回会っても

何があっても変わらないこの空気。

 

くだらない事で笑い合い、

さりげない行動に鼓動が早くなる。

 

気を遣う事なく、穏やかな時間は

あっという間に過去になる。

 

「一緒にいると

やっぱり落ち着くね。」

 

無表情で言われたその言葉。

私はとても嬉しかったんだ。

 

 

もう貴方を欲しない。

貴方の物になりたいとも願わない。

 

ただ貴方の隣に居られる時間を

笑顔で過ごしたい。

 

 

指輪を外し、跡が残る左手。

 

その手に

もう二度と、触れられる事はないと

分かっていても。