あらすじ

渡瀬恒彦主演「十津川警部」シリーズ第35弾。「助けて、すぐに来て!」という女からの手紙を受け取った十津川は金沢へ向かう。心当たりの旅館の若女将・深雪を訪ねたところ、深雪はそのような手紙を出した覚えはないという。そして、女将の宿で殺人事件が発生。被害者と関係があると思われた男たちが、次々と殺される…。殺人事件の真相に迫る十津川は、女将の隠された過去も知ることになる。驚きの過去とは? 藤谷美紀が加賀友禅に身を包み、しっとりと上品な女将役を熱演。片山津温泉の柴山潟、山中温泉、兼六園などを舞台に物語が進む。歴史ある小京都金沢、加賀で繰り広げられる旅情サスペンス!
十津川警部(渡瀬恒彦)に謎の手紙が届いた。「六年前金沢で十津川と会ったことがある」と綴るその人物は、「加賀の女」としか記していない。「自分を救ってほしい、すぐに来てほしい」と訴えていた。十津川が思い当たるのは六年前友人の結婚式で出会った北川深雪(藤谷美紀)だけだ。深雪は加賀友禅の老舗「加賀善」の娘だった。
十津川は金沢へ向かったが、加賀善は倒産しており店は人手に渡っていた。十津川は、加賀温泉の旅館で、雇われ女将をしている深雪を捜し当てた。十津川が手紙のことを話すと、深雪は自分が出したものではないと意外そうな表情を見せる。その夜、第一の殺人事件が起こる。殺されたのは、旅館の宿泊客でカメラマンの湯浅だ。就寝中に拳銃で二発撃たれていた。そして翌朝、旅館のオーナー・市川(大木正司)が、続いて東京の出版会社社長の遠山(永幡洋)が殺される。二人とも二発の銃弾で仕留められていた。同一犯の犯行なのか?

ネタバレ

十津川は寝ているとき名刺を一枚抜かれていた。
“加賀善”の主人 北川善之助は自殺未遂で心を閉ざしてしまっていた 妻の志げ子(宇都宮雅代)も口を開かない 年商二億円、総資産八十億円がだまし取られた 善之助は、誰に騙されたのかを言おうとしなかった。
《十津川の推理》言おうとしないのは、相手を庇っているのではないか。例えば大恩人。大学教授の成田清司(花ケ前浩一)、代議士の江本将天(大出俊)、日本画家の三木恵山。三木は2年前に亡くなっている。

3番目に殺された遠山は十津川の名刺を持っていた。夕べ盗まれた一枚だった。
出版社はエロティックな写真集を扱っていた。そこに深雪が名前を変えてモデルとなっている雑誌もあった。
モデル仲間・里見まゆ(嘉門洋子)の証言によると、深雪は遠山とカメラマンにレイプされていたようだ。深雪は騙されてモデルになった。遠山と湯浅はグルだった。仕事を紹介したのは市川だった。


十津川の推理だと、深雪が復讐している。しかし迷っており犯行を止めて欲しいために手紙を出したのではないか。

事件の核心

東京での殺人事件、深雪にはアリバイがあった。
第四の殺人事件発生、大学教授の成田が殺される。


共犯者は善之助ではないかと思われたが、善之助には十津川たちが目撃しているアリバイがあり、さらに主治医・石田達也(村田則男)によると「善之助は脊椎を損傷しており歩けないだろう」という。
ホテルのオーナーの市川は裏がある人物で仲居の田村ふさ江(大竹一重)にも手を出していた 若女将募集もカムフラージュだったのではないか。


代議士・江本の調査をしていた亀井が重要な写真を手に入れる。
代議士の別荘で撮った写真には殺された四人と去年亡くなった画家、そして代議士と甥の原田吉郎(片岡弘貴)が写っていた。その別荘で雑誌の写真が撮られていた。

許し難い真実と後味の悪い結末

事件の犯人たちは善之介と深雪であった。十津川らが目撃した善之助と思われていたものは人形だったのだ。

善之助が世話になってきた代議士、大学教授、日本画家など信頼してきた人々から加賀友禅発展のための事業に投資するよう勧められた。

しかし騙されたことに気付き、期限を切って告訴する計画だった。しかし江本らは娘を凌辱する写真を撮影しそれを送り付けて、告訴すれば写真をばらまくとの無言の脅しをかけてきた。

善之助は絶望し自殺を図るが生き延び、半身不随の芝居を続けリハビリを隠れて行い、復讐の機会を待っていた。クライマックスでは、例の写真を餌に代議士とその甥を呼び出し親子で銃撃する。

原田は死に、江本は命乞いをするが銃撃され意識不明の状態になる。

「深雪、逃げろ。逃げるんだ!江本は私が撃つ。逃げるんだ!」

善之助は深雪を逃がしたあと、江本を銃撃するが、弾が尽き投降する。

 

深雪は柴山潟に身を投げ、遺体が発見される。自殺する前、美雪は十津川に手紙を送ってきた。

深雪にはためらいもあり十津川に助けを求めたが、カメラマンの湯浅がホテルに現れ、妹に手を出そうとした。もう引き返せなくなってしまったのだった…。

一方、江本代議士は一命を取り留めたのだった。

「亀さん、私たちはいったい何をやってるんですかね…」

感想

何度も観てます、この回。大好きな回です。

そして毎回、嫌な気分になります。

2サスあるあるだけど、なぜか最後の大ボスだけは殺害計画が甘くて、仕留めそびれることが多過ぎだよ。

生かしておいて生き恥をさらした方がよいのか?

 

江本将天(まさたか)=将行、遠山敬和=敬之、三木恵山=三木恵一といった具合に、登場人物の名前が原作とドラマで少し異なりますね。まあこれはほかの西村京太郎原作作品にも多いですが。

 

何故十津川を呼んだのか、やはりためらいがあったのだろうか。それとも見届けて欲しかったのだろうか。ひどい目に遭う原因を作ったオーナーのホテルの若女将に応募しているのも理解しがたいところではある。