エズラ・ミラー演じるフラッシュの初単独作品。死んだ母を蘇らせるために、フラッシュが過去にタイムスリップするというのが今回のお話となる。
エズラ・ミラーが起こした数々の不祥事のおかげで果たして公開できるのか不安の目が向けられていたものの、無事公開されたのは素直に喜ばしい。というか、本作を見れば、ワーナーが必死になって本作を公開したがるのも無理はないと思った。本作はDCEUをリセットするのに欠かせない一作なだけでなく、DCファンにとって様々なサプライズが用意されているからだ。
マルチバースをテーマに扱っていることもあり、本作では懐かしいマイケル・キートン版バットマンが登場してくるし、本来の歴史では登場してこなかったスーパーガールの、可愛くもかっこいい姿を見られるだけでも本作を見る価値は十分にあると言える。
それだけでなく、後半はフラッシュが暴走したせいで様々な次元が衝突し、それによってアダム・ウェスト版バットマンやジョージ・リーヴス版スーパーマン、クリストファー・リーブ版スーパーマン、ヘレン・スレイター版スーパーガール等、歴代のヒーロー達が姿を現すのは胸が熱い。亡くなった俳優をCGで蘇らせることに賛否両論はあるだろうが、今でもヒーローとしての活躍を披露してくれるのは、DCファンにとってたまらない瞬間と言えるだろう。
更に驚いたのがニコラス・ケイジ版のスーパーマンで、「あれ、ニコラス・ケイジってスーパーマン演じてたっけ?」と思ったが、企画はされていたもののお蔵入りとなった幻のスーパーマンだったのだ。こういう形で実現するなんて、さぞかしニコラスにとっても忘れられない瞬間だったに違いない。
そして、最後の最後、無事現代に戻ってきたフラッシュの前に現れたのは、ジョージ・ルーカス演じるバットマン=ブルース・ウェイン。ジョージ・ルーカス自身バットマンを黒歴史扱いしていただけに、このビッグサプライズは観客に大きな驚きをもたらした。実際劇場では観客達から驚きと笑いの声が上がっていたくらいだ。
マルチバース展開は『スパイダーマン:ノ・ウェイ・ホーム』で慣れたと思っていたが、こういうサプライズを用意してくれるあたり、DC映画界の本気を感じた。おかげで今後のDCユニバースがどのような展開を見せてくれるのか楽しみである。