7月21日に戦後2番目に低い投票率48.8%という悲惨な結果の参議院選挙が終わりましたが、それ以上にメディアで多くの時間を割かれている吉本興業闇営業問題について、私は現在非常に憤りのようなムカつきを感じています。
ちょっと長い文章ですし、あまりブログで感情的に激しいことは書かないようにしてきましたが、今回だけは書いておきます。
メディアでは現在吉本興業岡本社長が最低で、宮迫さんをはじめとする謹慎処分となった芸人がかわいそうという構図になっていますが、おかしくないですか?
また、宮迫さん・田村亮さんの会見と2011年の島田紳助さんの事を比べていろいろと書いている方もいます。
そもそも2011年の島田紳助さんの件は2001年前後に番組内での発言から右翼団体に執拗な嫌がらせを受けていた際に暴力団にその後始末をしてもらったことがきっかけです。
簡単に言うと限りなく黒に近いグレーからの嫌がらせに対して戦うとすれば、本来は、白い世界で生きている我々は法治国家の元「白」つまり「法」で戦わなければならないところを、ダメだと認識しながら黒に対して黒の力を借りたことに大きな問題があります。
また、宮迫さん達についてはおそらく本当に反社会的勢力とは知らなかったのだと思います。
しかし、一番の問題は宮迫さんが会社に対し自身の保身のためにウソをついたことです。
そしてウソをつくように入江さんをはじめ後輩芸人に指示を出したのも宮迫さんですし、後輩にしたら先輩が「そうするぞ!」と言った中で「真実を言いましょう!!」ということは非常に言いにくかったのだと思います。
もちろん、会見の姿を否定するつもりもありませんし、本当に悪いことをしたと反省されていたからのあの姿だとは思います。反社勢力と知らず関わってしまったのですし、それに関しては気の毒だと思います。
けれど、絶対にウソをついてはならない局面でウソをついたという事実は、紳助さんよりもタチが悪いのではないでしょうか。
そこから一転して岡本社長がすべての悪の根源みたいな世論誘導に非常に怖さを感じます。
正直、処分も撤回する必要はなかったと思います。
もし、岡本社長の対応でまずい点があるとすれば私は以下2点だと思います。
大きく流れが変わった「お前ら全員クビにするぞ」「テープ回してるんちゃうか」という発言の主旨に対し「冗談」や「場を和ませる」という言葉でごまかし、社長がその発言に至った原因となった一人ひとりの発言を具体的に細かくそのままの当人の言葉を再現して伝えなかった事と、宮迫さんへの処分の撤回です。
コメンテーターは単なるコメンテーターであり、経営を知っている人間ではありません。
その方たちが言う無責任な発言に非常に憤りを感じます。
「冗談で言った」という岡本社長の言葉尻だけを報道されていますが、実際にあの時社長が「ひとりひとり好き勝手なことを言っていて、被害者の気持ちがわかっているのかと思った中で出た言葉」とおっしゃっていました。
反社組織だとは知りませんでした。
金銭は受け取っていません。
そう言っていたにも関わらずいきなり、受け取っていました、ウソついていました、ウソをつくよう後輩にも指示しました、会見させてくれと・・・
挙句に一人ひとりが好き勝手なことを言っていたら組織のトップとして言葉を荒げて「お前らええかげんにせぇ!全員クビや」くらいの発言が出るのが自然ではないでしょうか。
もし会社の信用回復の局面での判断をトップが迫られる中で、各自が正確な情報を伝えず保身のためにウソをつき、挙句の果てに自分たちで謝ってくるだの、各々の感情を優先させ会社の方針が決まらないうちに勝手な行動を要求していたら、岡本社長のような発言が出てしまうことは至極当たり前だと思います。
また、岡本社長が言葉を濁したのは、おそらく会見では個々人の具体的な発言を伝えることすらできないようなレベルの低い発言がその場で起こっていたのではと推察します。
それを「被害者の方の存在を誰も考えていないような」という抽象的な言葉に置き換えたのではないでしょうか。
はっきりと言わなかったのか、言えなかったのか・・・置き換えた理由は様々に推測できます。
吉本には6000人のタレントが存在し、107年の老舗です。社員様、そしてお取引先まで含めると今回の影響はこのたった11名の行動がすべてのタレントの未来に影響する出来事です。
同時に会社としての存続すら危うくする出来事です。
吉本の原点でもある新喜劇世代や今の繁栄の礎となってくれたお客様が、つまり今のおじいちゃんおばあちゃん世代が被害者となり笑顔を奪われている詐欺事件ですよ。
絶対ウソついたらダメな部分だと私は思いますし、そんなことを考えるとウソだとわかったときの社長の心境は悲憤慷慨の極みだったと思います。
社長の仕事は会社としての信頼を守ることであり、存続させることであり、それが6000人にも上るタレントを守る事にもつながり、この状態を解決することであり
非常に難しい舵取りをしなければ全員で沈没する可能性がありました。
二転三転する当事者たちの発言の中、安易に発表・会見できなかったのは当たり前であり
会見の時期についても、当事者達の感情を優先させることよりも、会社を中心とした三方全てに対し会社としてダメージを出来る限り少なくするための時期を模索するのは当然だと感じます。
当事者たちの立場と岡本社長の立場は違いますし、背負っているものも違います。
今回のこの初動ミスに宮迫さんのついた嘘が影響及ぼしてないですか?
私は、「会社に対してウソをつき、全員で示し合わせるようにした」という彼らの行動がなかったことのようになり、すべて岡本社長一人を悪者にするこの世論の急展開が非常に怖いです。
芸人ファーストの会社にしていくと岡本社長はおっしゃっていましたが、本当に芸人天国みたいな会社にしていいのでしょうか?
そんなことをしたら、その方が吉本興業の首を絞めませんか?
吉本興業のように「商品が人」の業界はたくさんあります。
例えば、美容サロン、マッサージ、水商売、弊社もそうですし数え上げればきりがありません。
しかし、それらの会社や業界で社員・ 商品ファーストなんて言ってる会社はどこもありません。
商品はお客様のために存在し、お客様に喜んでいただける商品が最も優秀な商品です。
社員・商品ファーストの前にお客様ファーストであり、お客様ファーストだからこそ社員や商品を磨き大切にしてゆかねばならないのではないでしょうか。
芸人さんは一般人の我々と違い、どこか「タガが外れている」から面白いのであって、それが無かったらそもそも芸人じゃないと思います。
その「タガが外れている芸人集団」をタレントとして起用し売れっ子にして行けるのも、またタガが外れた人間が芸能人として活躍できるのも、タガを外さず仕事が出来る人たちが社員様や経営陣に存在するからじゃないんでしょうか。
直営業に手を出してしまわざる得ないギャラ問題等も言われていますが、そのことと、ここまで問題になってしまった根本的な原因とは全く別の議論として取り上げるべきなのに、それも一色淡でもうめちゃくちゃです。
この局面で社長や会長が辞任しないことは無責任ではありません。
逆にメディアや世間、また芸人さんが社長の辞任を求めるのであれば、宮迫さんに対しても他の芸人さんは一生涯TVに出てくれるなと求めなければいけないのではないかと思います。
あのウソを許して社長に辞任を求める意味が分かりません。
加藤さんも会長や社長に辞任を求めるなら、宮迫さんにも同様に、あるいはそれ以上に厳しい態度を貫き通さないと「物事の筋」が通らないのではないでしょうか。
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選挙が終わってから様々な番組が今回の参議院選の投票率の低さを指摘し、そして、政治家たちはそれを自分たちの責任と言っていました。
投票率の低さとはその国の民度を図る指標ともいわれます。
確かに政治家にも問題があるのかもしれません。
しかし、この吉本興業闇営業問題に対する一連の報道が、メディアの在り方の一事が万事を物語っているような気がしてなりません。
一気に世間の空気をこうやって変えてしまうメディアの在り方に恐怖と無責任なポピュリズムの真相を感じます。
投票率の低さの責任はメディアにもありませんか?
民度を低くしている責任はメディアにはありませんか?
本来メディアとはズレそうな世論に対し、本質を伝える事が仕事じゃないんでしょうか。
唯一の救いは吉本興業所属の60代以上の西の大御所の芸人さんたちが、会社を擁護する立場を明確にとっておられた事です。
不謹慎にも自社の社長を貶めたり、この深刻な状況をネタのようにしてツイートする一部芸人たちと池乃めだか師匠の記者に対して笑いで返したコメントにもやはり格の違いを感じますし、世代が違うからという言葉を使っておられましたが、特に西川のりお師匠は非常に見識の高いコメントを出しておられました。
しかし、そういうことが加藤さんの発言以上に報道されない事がとても残念です。