久しぶりのブログ更新です。
見て下さっていた方、長い間ブログを休止していて申し訳ありませんでした。
久しぶりのブログで一番最初に書きたいことは
ブログを休止する前に書きたかった記事です。
ある美容室の女の子のお話です。
その子は耳が聞こえません。
もちろん補聴器をつけて、日常会話に支障はないのですが、ドライヤーや雑音、BGMや他のお客様の会話が響くサロン内では健常者の方とは全くくらべものにならないほどの不自由があります。
私がその女の子を知ったのはちょうど1年ほど前です。
お客様とのコミュニケーションが必要な職種です。
耳が聞こえないというハンディキャップを抱えて美容師になるということはどれほどの覚悟が必要だったのだろう。
おそらく、それはとても勇気の要ったことだと思うのです。
上手く伝えれない事、上手く聴き取れない事、何より耳が聞こえないというコンプレックスとの戦いは苛立ちが多かったことと思います。
けれどその苛立ちの奥に隠された本当の感情は悲しみや苦しみ、悔しさ、もどかしさ、恥ずかしさ・・・そんな感情だったのではないでしょうか。
私がなぜ、その子のことを書きたいと思ったかというと
その子のするヘッドスパとシャンプーに感動したからです。
今までたくさんのサロンでヘッドスパやシャンプーをしてもらいましたが、私が経験した中で彼女がダントツのNo1でした。
施術してもらいながら
「なぜこんなに上手なんだろう・・・」
それをずっと考えていました。
そして、彼女に頭をマッサージしてもらいながら気づいたんです。
おそらく、彼女にとってシャンプー台でお客様と接する時だけが耳が不自由であるということから解放されたのではないかと。
シャンプー台では眠ったりゆったりとすごすお客様が大半をしめます。
会話のほとんどないその場所は彼女にとって耳が聞こえない事を気にしなくて済む場所。
コンプレックスを忘れ唯一ただひたすらにお客様に真剣に技術をご提供できる場所だったのではないかと思います。
そして、本当に一生懸命シャンプー台で美容師としての最高の自己表現をしてきたのではないでしょうか。
彼女のシャンプーは技術以上に、その指先から伝わるものがありました。
何ともいえない、一生懸命さが指先から伝わるんです。
真剣さが指先から伝わるんです。
彼女にヘッドスパをしてもらいながら、どんな想いでこのシャンプー台でお客様と必死で向き合ってきたのかと・・・その胸中を思った瞬間、技術をしてもらいながら涙が溢れそうでした。
神様は彼女から聴力を奪ってしまったかもしれませんが、その代わりに彼女は他のどの美容師も真似の出来ない彼女にしか出来ない指先の技術を自分の力で身に着けたのだと思います。
彼女の技術は聴力の代りに神様が与えてくれたものではありません。
その技術は彼女が自分の力で必死で頑張って身につけたもの。
幸せになってほしいと心から願う素晴らしい美容師さんです。
多くの人に彼女の存在を知ってほしいと願う美容師さんです。
私が健常者である限り、本当の意味で彼女の苦しみや辛さを解ってあげることは不可能だと思う。
けれど、私は全力で彼女を応援したいと思うし
これからも陰ながら彼女の歩む険しすぎる道を見守りたいと思うし
その小さな背中を「彼女の仲間たち」と一緒に支える一人でありたい。
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神様は貴女から大きなものを奪ってしまったかもしれないけれど
そのせいで大きな心の傷や苦しみや辛さを味わったかもしれないけれど
コンプレックスのない人間は障害を知らない弱い人
苦しみのない人間は人に愛を与えることが出来ない人
辛い経験のない人間は人に優しく出来ない人
貴女のコンプレックスが大きければ大きいほど、苦しんだ事が大きければ大きいほど、辛い経験があればあるほど
それは必ず貴女を強く美しく逞しく何より優しく愛のある人間にしてくれる
みんなと同じペースで歩むことはできないかもしれない
それでもいい、どうかこれからの美容師人生を貴女のペースでいいから、ゆっくりと一生懸命歩んで行ってくれることを願っています
貴女がこれからの人生で幸せになりますように・・・
だって、ひとってみんな幸せになるために生まれてきてるから・・・