我国に於ける三十一文字の和歌の初まりは、素盞嗚尊の御詠みになつた

八雲立つ出雲八重垣妻ごめに八重垣つくる其の八重垣を

といふ歌である。その意味を言霊に拠つて解釈すると、其の歌の中に非常時日本の現下の姿が躍如として描かれてゐるのである。

八雲立つ-とは四方八方に雲が立ち込めて天日為めに暗き意であつて、今日の世界が正にその通り八雲立つ状態にあるのである。出雲八重垣-とは八雲に対して出雲と掛けたのであるが、いづもはいづくもと訓み又何処も(何国も)といふ意味を表して居るのである。妻ごめに-妻とは我日本を云ふのである。古来我国は秀妻の国と謂はれて居る。故にこれに掛けて素盞鳴尊が優美に妻といはれたのである。即ち『妻ごめに』とは、日本の国を押込める為にといふのである。斯くて此の歌の全部の意味は、四方八方に妖雲が立込めて天日為に暗く、何処も此処も優しくも美しい秀妻の国日本を押込めようとして周囲に十重廿重の垣を作る。而して其の八重垣を果して如何にすべきや······と鏘々たる余額が残されて居るのである。
『出口王仁三郎著『惟神の道』,天声社,昭和10.12.国立国会図書館デジタルコレクションhttps://dl.ndl.go.jp/pid/1137357』