神人とは、現代に日ふ人格の優れた人を云ふのではなく、人の形に造られた神の事で、或は竜蛇となり、猛虎となり、獅子となりて神変不思議の行為をなし得る神の謂である。故に神として元形のままに活動する時は、天地をかけり、宇宙を自由自在に遠近明暗の区別なく活動し得るのである。宇宙の大元神は茲に於てその自由行動を圧抑し、地上の神界を修理せむとして神通力を除き神人なるものに生み代へ変らしめ給うたのである。故に神人なるものは危急存亡の時に到るや、元の姿なる竜となり、白蛇となり、その他種々の形に還元する事がある。然れども還元するは神の生成化育、進歩発達の大精神に違反するものにして、一度元形に復し神変不可思議の神力を顕はすや、忽ち天則違反の大罪となりて、根底の国に駆逐さるるのみならず、神格忽ち下降して畜生道に陥るの恐れがある。故に神人たる名誉の地位を守るためには、如何なる悔しさ、残念さをも隠忍して、その神格を保持する事を努力するのである。自暴自棄の神人は遂に神格を捨て悪竜と変じ、終に万劫末代の亡びの基を開くのである。現代人の如き体主霊従の物質主義者は、凡て此の自暴自棄して再び畜生道に堕落したる邪神と同様である。
『出口王仁三郎全集』第5巻,高木鉄男,昭和10. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1138144
