ご心配をおかけしました
2月3日 いつも私たち家族を心にかけてくださり、本当にありがとうございます。前回の更新から、しばらく近況報告が滞ったため、皆様には大変ご心配をおかけしてしまい、本当に申し訳なく思っております。また少しずつではありますが、愛の状態をこの場を借りてお伝えしていければと思っておりますので、これからも温かく見守ってくださいますようお願い申し上げます。
この4ヶ月の間に、愛は心身共に大きく成長してきました。10月には40℃の高熱を出して救急医療にかかったり、11月には自宅で転んであごの下を切り、外科にお世話になったりと、いろいろとありましたが、どうにか元気に過ごしてきました。インフルエンザなどの感染に気を付けなければならないため、うがいも一生懸命練習して、毎日の日課として頑張って取り組んでいます。また、公共交通機関を利用する時にはマスクを着けるように言い聞かせ、愛も電車に乗らなければならない時には、自分からマスクを持ってくるようにもなりました。年明けからは、薬もスポイトで親が飲ませるのではなく、水に溶いたものをコップに入れて、自分で飲むようになりました。小さいなりに、自分が人一倍健康管理に気を遣っていかなければならないことを自覚してきてくれているならば、親として本当にありがたいことだと思っています。
二歳にしては小さかった愛の体も、12月に入って急に大きくなってきました。食べる量が少しずつ増えてきてはいたものの、これまでは食べても食べても、その栄養は心臓の回復にばかり回っているかのように、身長・体重共に全くと言っていいほど変化が無かったのですが、この二ヶ月で体重が一気に1.5kgも増え、ようやく同年代の子どもたちと同じくらいの体つきになってきました。階段の上り下り、走る、跳ねるといったことはまだまだ訓練が必要ですが、半年に一度、近くのリハビリ施設で指導を受けながら、これからも親子で前向きに頑張っていこうと思っています。
そして何よりも大きな変化は、愛の心機能が大きく回復してきたことです。
11月20日、帰国後一年、そして冠動脈の修復手術後一年半の節目ということで、愛は心シンチ、心エコー、心電図、血液検査と、心機能の回復具合を精査する本格的な検査をしました。麻酔を使って眠らせた状態での検査になりましたが、医療スタッフの方々が愛の検査中のコンディションに終始気を配ってくださっていましたので、安心して検査を受けることができました。もっとも、愛本人は、久しぶりの点滴や注射がとても怖かったらしく、麻酔をする前も切れた後も泣き叫んでいましたが。
その一週間後に教えていただいた検査結果は、本当に愛のデータなのかと目を疑うほどよいものでした。心臓の駆出率を表すEFの数値は56.7%になり、一番拡張していた左心室の半径は一年前の半分にまでなっていることが分かりました。心臓の大きさとしてはほぼ正常値に近づいたことになります。また、心筋が壊れていく状態を知ることができるBNPの値はこれまでで最低となる68.5となりました。エコーで見る限り、心臓の動きそのものには不自然なねじれが残り、部分的に動きが悪いところもあるので、依然心不全の状態であることに変わりは無いのですが、主治医の先生からは、これまで通り投薬治療を続けていけば、愛の心臓は移植をしなくてもやっていけるだろうという、私たちの待ち望んでいた、何よりも嬉しい話を聞くことができました。さらに日本医大の本院の先生方にも検査のデータを詳しく見ていただき、12月半ばには改めて「近い将来、移植の必要はない」との診断を受けました。未来への希望に満ちたこの連絡を受けた日のことを、私たちは一生忘れることは無いでしょう。私たち家族は、大きな幸せをかみしめると共に、この日改めて多くの方々への感謝の念を、胸に深く刻みつけようと心に誓い合いました。
病院で愛の余命宣告をされてから、丁度二年経った今、皆様のお力添えの下、愛と私たちの時間は確実に未来に向かって流れ始めました。この日が来ることを信じてこれまで治療を続けてきましたが、なかなか心機能の回復の兆しの見えない時には、どうしようもなく不安になることもありました。そんな中でも、多くの方々が愛の回復を祈り、信じてくださり、たくさんの励ましの言葉をかけてくださいました。募金活動を通じ、支えてくださった皆様の大きな支えが、どんな時も私たち家族の希望の灯となっていました。そんな皆様に「移植回避」というご報告ができますことを、私たちも本当に嬉しく、幸せなことだと思っています。これまで支えてくださった皆様に、改めて深く深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。先にも書きましたように、愛の心臓は回復してきているとはいえ、未だ心不全の状態ですし、冠動脈に傷を持っているために、そこに血栓ができてしまうことが無いよう、食事や生活習慣など、感染症以外にも気をつけて生活していかなければなりません。これからも今までと変わらぬ闘病生活が続きますが、愛がいつか自分の言葉で皆様に感謝申し上げられる日が来るまで、家族で力を合わせて愛の命を守り育てていきます。
今日は久しぶりに雪が降り、私たちの住む町はたくさんの雪が積もりました。愛は少しだけですが外に出て、雪遊びをすることができ、本当に嬉しそうでした。二年前、入院中の病室の窓から降る雪を眺めていた時には、今日のような日が来るとは夢にも思いませんでした。好奇心でいっぱいの愛には、健康や安全面などに配慮しながら、様々なことを経験させてあげられたらと思っています。そして私たち両親は、愛と共に生きていられることを感謝しつつ、未来へとつながる一日一日を大切に生きていきたいと思います。
光一・玲子