ガーンガーン Newsweek 2017/07/28

 

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/21-9.php

 

 

ジャーマンシェパード2頭に1頭が安楽死 見た目重視の交配の犠牲に

 
 

<人間好みに変形させられたシェパードの5割が歩けず殺される>

 

ロイヤル・ベタリナリー・カレッジ(ロンドン大学の獣医学を専門としたカレッジ)が発表した研究で、人間の好みに合わせて交配を繰り返したジャーマンシェパードの悲惨な人生が明らかになった。

 

オンラインジャーナル「Canine Genetics and Epidemiology(イヌの遺伝と疫学)」に研究を発表したダン・オニール博士らのチームは、イギリス全域の動物病院430カ所からデータを集めた。その結果、ジャーマンシェパードは、異常な傾斜のある背中や攻撃性、そして関節炎やガンといった病気に苦しむ割合が、他の犬種よりも多かった。生まれてきたジャーマンシェパードの2頭に1頭が歩けないので安楽死させられる。

 

シェパードの死亡理由は、不自然なバランスの骨格のせいか、約20%が筋骨格系疾患もしくは、骨関節炎(変形性関節症)によるもの。4.7%は攻撃性が強すぎて噛むので殺さざるをえないという。

 

ドッグショーで高く評価されるジャーマンシェパードの条件は、後ろ脚が極端に短く、肩から尻尾にかけて異常な傾斜のあること。ブリーダーは「優れた」個体を生み出すために、このような特徴を持って生まれた個体同士を人為的に掛け合わせて繁殖を繰り返す。

 

オニール博士はテレグラフに対し、世間には「完璧なジャーマンシェパード」に対する間違った思い込みがあると指摘。ドッグショーで背中が傾斜しているのが良しとされると、傾斜していればいるほど良いと思ってそれを求めてしまうという。

 

行き過ぎた品種改良で明らかにおかしい

 

各国においてイヌの品種認定や犬種標準の指定、血統書の発行などを行うケネルクラブ。世界の支部のなかでもイギリスの「ザ・ケネルクラブ」は1873年設立の最も歴史ある団体で、世界最大のドッグショー「Crufts (クラフツ)」を運営している。

 

2016年のクラフツで問題になったジャーマンシェパードがこの研究の発端だった。スコットランドのブリーダー、スーザン・カスバートとともに出場した3歳の「クルアヘア・カトーリア」は、「優れた」見た目で賞を獲得したが、歩く姿は放送中止になったのだ。

 

カトーリアの歩き方は後ろ脚が前脚の動きに追い付かないような、なんとも不自然なもので、「とても健康的な歩き方とは思えない」という声が上がったからだ。

 

ザ・ケネルクラブはこの「不健全な動き」が世界中に放映され、非難を浴びることを恐れ、イギリスの公共テレビ局チャンネル4に放映されるのを意図的に阻止。事態が発覚した後に、カスバートは、英デイリーメールの取材に対し犬は健康体だと訴えた。

 

自然な姿のほうが優れている

 

カスバートの一件を受け、英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)は、さまざまな健康問題を引き起こす可能性のある意図的に繁殖された動物の飼育を止めるために、イヌの審査制度を改革しなければならないとコメントを発表。

 

ザ・ケネルクラブは、自由に立つことができる、後ろ脚が地面に対し垂直など、クラフツで展示するイヌの基準を新たに示した。

 

専門家は簡潔に「人間が不自然な形状の犬を飼うのを止めればいい」と述べている。「優れた」見た目の犬を迎えたい飼い主の需要が無くなれば、不自然な交配も止まる。

 

 

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