東日本大震災の被災者が飼えなくなった犬や猫などのペットの引き取り手を、県動物愛護協会(事務局・前橋市)が募っている。協会の仲介で、すでに 70匹以上が新たな飼い主に引き取られた。震災から1年がすぎ、しだいに飼い主探しが難しくなっており、募集の呼びかけを強めている。

 吉岡町大久保の獣医師、宇都宮三誠(かず・とも)さん(36)が近づくと、2匹の雑種犬ムク(オス)とペロ(メス)がじゃれついてきた。「人見知りもせず、よく食べる犬なんです」。宇都宮さんは目を細めた。

 2匹は茨城県の飼い主宅が液状化で住めなくなり、協会の呼びかけに応じた宇都宮さんが昨年6月に引き取った。一緒に生まれた2匹は大の仲 良し。引き取って約1週間後、雷に驚いたムクが逃げ出したが、翌朝戻ってきた。「この2匹は一緒にいなくちゃだめなんだ、と改めて思った」

 元の飼い主に写真を送ると、「本当は飼いたいけれど、安心しています」などと返事がくる。「被災地のために何かしたかった。人間の都合で動物の命が見放されるのはかわいそう」

 協会には愛犬家や獣医師ら約100人が加入する。震災2週間後の昨年3月25日、「被災地で処分される動物を減らしたい」と、有志8人が 「レスキュー委員会」(太原(おお・はら)美幸委員長)を結成。福島県南相馬市などを訪ねて自治体に支援を申し出たり、放置された犬猫を保護したりしてき た。

 被災地の市民団体とも協力し、これまでに犬54匹、猫15匹、ウサギ6羽の新たな飼い主を見つけた。

 特に状況が厳しいのは、東京電力福島第一原発事故の影響が残る福島県。放置されたペットの飼い主がわからなかったり、避難生活でペットを飼える状態になかったりする例が多く、約300匹の犬や猫が県の施設に保護されている。

 宮城や岩手、茨城の各県でも、被災で飼えなくなった犬や猫数十匹が、地元の動物愛護団体やボランティアに預けられている。

 レスキュー委員会の太原委員長は「震災から1年以上たち、引き取りに応じてくれる人が減ってきた。飼い主と離れる期間が長くなれば、それだけ人間に心を閉ざしていく。動物をめぐる被災地の状況はますます悪くなっている」と危機感を募らせている。

 問い合わせは太原さん(090・6173・XXXX)へ。(金井信義)


朝日新聞  2012/05/14
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000001205140006