故郷に高度獣医療や情報を提供したいと思い、獣医学博士、循環器認定医、小動物外科専門医、感染制御医などの資格を取得し、省庁・学会・研究会の理事や評議員も兼任しながら5年前に開院しました。
  成果としては、離島や基地内など遠隔地からも患者さんを紹介され、皮膚科領域では副院長が沖縄の症例で専門誌に連載を持つまでとなりました。院内業務では 満足していますが、周りを見渡すと、まだ満足ではありません。3月29日の「南風」にも書きましたが、狂犬病注射をはじめ沖縄の動物事情は、全国下位で推 移しています。特に行政による動物処分数は早急に行動しなければなりません。
 平成22年度の環境省の統計では、犬猫の処分数は沖縄県が7451頭で、ワースト1でした。2位の千葉県は6785頭です。人口や居住空間が違うので単 純な比較はできませんが、多くの犬猫が“処分”という聞こえの良い単語で殺されています。高度獣医療を受けられる犬や猫は幸せです。しかし、同じ島で愛情 をそそがれないまま、死んでいく動物がこれほど多いのです。
 沖縄の特徴として、猫が6割を占めていることです。これは、南の島国で、寒さや飢えで死亡する猫が少なく、優しい県民性から野良猫に餌を与えている人が多いからだと推定されます。逆に言うと無責任な人が猫に餌を与え、野良猫を増やしているのです。
 提案です。犬や猫が欲しい人は県動物愛護管理センターから命を救ってください。そこにはブランドは存在しませんが、オンリーワンの輝いた犬猫がいます。もらい手の少ない成長した犬猫をお願いします。
 野良猫に餌を与えている親切なあなたは、その猫を家族として迎え入れてください。7451人が行動すれば解決できます。「命どぅ宝」好きな言葉です。
(兼島孝(かねしまたかし)、琉球動物医療センター院長)

琉球新報 2012/05/11
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-191053-storytopic-13.html