
「唐突過ぎましたね。ごめんなさい。
つまり、人は人生一度きりですよね。これは紛れもない事実です。ただ、
生きていく中で何度かは自分の人生を振り返ったことがあると思います。
例えば…」
彼女は一度、天井を見上げ深呼吸をし話す順番を頭の中で整理している感じに見えた。1から10まで慎重に。
「あの時、大学に行っていたらとか、
好きな人に告白していたらとか、
バイクじゃなく車の免許を取っていたらとか…小学6年生の時、引っ越ししていなかったらとか。
結局は、どの選択も間違ってはいないし、きっとその時の環境、時間、お金の事情もありますよね」
僕は、静かに彼女の淡々とした話しを聞くしかなかったし、彼女の話が終われば次こそはエレベーターで下に降りて家に帰ろう。
彼女にはわるいが、僕は話を聞き流しながらエレベーターの↓ボタンを見つめていた。
「長々と話してしまいました。私があなたに伝えたいことは、それは、過去に戻り、自分が選ばなかった選択肢を選ぶ人生を体験してみませんか?
と言うことです。もちろん体験版なので
戻りたい時にいつでもこの場所に帰ってこれます。どうですか…?」
彼女の唾を飲み込む音が聞こえた。

そして僕の返事は、
はい/いいえ
の二択… 彼女の話は聞き流していたはずなのに、最後に引っかかったと言うか、引き込まれてしまったと言うか…
予想もしていなかった問いに僕は質問すら思い浮かばなかった。
二択…僕は決断しなければいけない。そんな状況に立たされていた。
もう一つの選択肢をクリックしてみる。
