りある異世界RPG〜もう一つの選択肢をクリックしてみる。

りある異世界RPG〜もう一つの選択肢をクリックしてみる。

ダンジョン49階層、ボス戦の前に一度街に戻ろうと思います。

もう一つの選択肢をクリックしてみる。

 

か…間違いなく答えはノー

けど、戻りたかったら戻れるんだよな。約76%の確率で不正解の僕の今までの選択人生。

どちらを選んでもほぼ不正解。

いや、そもそも誰が不正解の人生って決めたんだ? 勝手に自分で決めてるだけじゃないのか⁈人生の基準なんてあるのか? 人に迷惑をかけない。そして親から与えられた人生を生きる。

ただ生きるだけじゃなく楽しくだ!

 

それで良い。きっと…

 

「はい」

 

 

 

 彼女は、微笑みながら、僕にむかって頷いた。まるでそれが正解だよと言うふうに何度も何度も頷いた…

 

「かしこまりました。私が責任をもってあなたを案内します。それではルールを説明するので、よくお聞きください」

 

 

 

 

「唐突過ぎましたね。ごめんなさい。

つまり、人は人生一度きりですよね。これは紛れもない事実です。ただ、

生きていく中で何度かは自分の人生を振り返ったことがあると思います。

例えば…」

 

彼女は一度、天井を見上げ深呼吸をし話す順番を頭の中で整理している感じに見えた。1から10まで慎重に。

 

「あの時、大学に行っていたらとか、

好きな人に告白していたらとか、

バイクじゃなく車の免許を取っていたらとか…小学6年生の時、引っ越ししていなかったらとか。

結局は、どの選択も間違ってはいないし、きっとその時の環境、時間、お金の事情もありますよね」

 

僕は、静かに彼女の淡々とした話しを聞くしかなかったし、彼女の話が終われば次こそはエレベーターで下に降りて家に帰ろう。

 

彼女にはわるいが、僕は話を聞き流しながらエレベーターの↓ボタンを見つめていた。

 

「長々と話してしまいました。私があなたに伝えたいことは、それは、過去に戻り、自分が選ばなかった選択肢を選ぶ人生を体験してみませんか?

と言うことです。もちろん体験版なので

戻りたい時にいつでもこの場所に帰ってこれます。どうですか…?」

 

彼女の唾を飲み込む音が聞こえた。

 

 

そして僕の返事は、

はい/いいえ

の二択… 彼女の話は聞き流していたはずなのに、最後に引っかかったと言うか、引き込まれてしまったと言うか…

予想もしていなかった問いに僕は質問すら思い浮かばなかった。

二択…僕は決断しなければいけない。そんな状況に立たされていた。

 

もう一つの選択肢をクリックしてみる。

 

ずっと引っ掛かっていたんだよな、この言葉。

待っていた?!

僕を?!

なぜ?!

 

まあ、きっと彼女の言い間違いなんだろう。

とにかくここから出よう。

色々やることはあるが、もう少し体調を整えなくてはならない。

なんせまた、地獄の勤務が僕を待っているだろうし…

 

彼女は、僕がもうこの場から離れたがっているのを察したのか、慌てて何か大事なことを伝えるような目で僕を引き止めようとした。

 

「えーっと、色々ありましたね。ほんとによくここまで頑張ったと思います」

 

少しの沈黙。

古い蛇口の水が一滴、滴り落ちるぐらいの時間。

 

 

そして、一滴の涙が僕の頬をつたった…なんでだろう?

 

ずっと僕はその言葉を欲していた?

その言葉が本意では無くても、僕のことを何一つ知らなくても、なんだろうこの解放されたような感覚。

こんなに重みのない言葉なのに。

 

しかし、僕は、何もなかったかのように涙を服の袖で拭った。

 

「ありがとうございます。で、何か僕に?」

 

彼女は、僕が話を聞く意思を確信したのか、一度頷き話し始めた。

 

「もう一つの選択肢をクリックしてみますか? 過去に戻って」

 

 

 

 

現在のステータスを見ておくか。

 

 

第49階層のホワイトドラゴンを倒したにも関わらず、スキルが増えてないな...属性、勲章的なのも無し。

HPとMPは入院したお陰でかなり回復したようだ。

 

 

退院当日の朝9:30

 

病室の荷物を整理し、退院手続きを完了させ、退室時間まで窓の外の景色を眺めていた。

 

人が右に現れ、左に消えていく。

 

人が左に現れ、右に流れていく。

 

この場所を離れなければならないという事実に直面し、安堵感と、再び暴力的な日常に戻る不安が入り混じった複雑な心境だった。

 

体力が回復した今だからこそ、一刻も早くこの場所を離れなければならないと強く感じなければ。強制的にでも…

 

担当医が退院後の薬の処方について説明に来た。

お礼を言い、病室を出てエレベーターに向かった。

 

恐らくここに搬送された時に、このエレベーターで搬送されたのだろう。全く記憶にないが…

さて、

↓ボタンを押そうとした時、背後から誰かに呼び止められた。

 

 

入院した初日に担当してくれた看護婦さんのようだった。

「退院ですね。おめでとうございます」と声をかけてくれた。

 

その優しい口調に、入院時の記憶が蘇った。

「ありがとうございます。お世話になりました」

 

僕は軽く頭を下げ、再び↓ボタンを押そうとした時、看護婦さんが僕の手を優しく遮ったのだった…

 

「お待ちしておりました」

 

あっ⁈

 

 

 

 

 

とその時、突然。

 

暗闇の中、ゆっくりとタワークレーンで持ち上げられるような感覚、時折、風で揺れる感覚。

エレベーターの上昇感とはまた違う。

しかし、それは確実に正確に僕を運んで行った...どこかに。

 

第49階層、真っ暗な暗闇の中、凄まじい押しつぶされそうな重力…

何かとてつもなく大きい物が僕の前に立ちはだかっている!

まさかここでボス戦突入⁈ ホワイトドラゴン‼︎

 

 

 

 


 

薄明かりの中、目を開けると、真っ白な壁と窓から差し込む強い光、鼻には酸素、腕に繋がる点滴。

 

やっぱりな...病院だ...

やはりホワイトドラゴンに打ちのめされたか…そりゃそうだ僕には正直、戦う気力、体力すら無かったし。

まさかあの状況で普通ボス戦てありえないだろう…

負けるべくして負けた。だから僕は今ここにいる訳だ。なるほどな…

 

窓際に人の影がある…光で顔は見えないが、小柄で丸みの帯びたシルエットは女性だろう…おそらく看護婦さんだ…

 

「おはようございます。お待ちしておりました。1週間もすれば 体調は良くなりますよ」と女性がゆっくりと丁寧に話した。

 

待っていた…?

 

3日後...4日後...

熱は徐々に下がり、呼吸も楽になった。全回復目前だ。仲間達が面会に来てくれた。

 励ましの言葉に心が温まった。

 しかし、今までの階層で一番の苦戦した戦いだったんじゃないかな…本当に自分のHPがここまで削られたのは初めてかもしれない。

嫌でも次の階層に進まなければならない。

もう引き返せないよな、今更…

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現在、ダンジョン49階層に一人で挑戦中。

と言っても、49歳を死に物狂いで生きている。と言う意味なんだけど…


特別なスキル無し…手に職は無い、都心の宿屋で働いて…ホテルの清掃業をメインに働いている…と言う意味で、最近異世界もののアニメにハマっているせいか、そういう言い方になってしまった…笑

遥か彼方の独身貴族に憧れるも、ほぼ詰み

 

色々な仲間に助けられ何とかここまで辿り着いたが...

毎回、気付けばボス戦の時は一人だな...ようするに、いつも肝心な時、決断の時、最後は自分自身の行動、選択が一番の責任だと言う事だ。

 

去年は心身ともにボロボロになり、何も解決できずに年を跨いだ。全てをリセットしてやり直したいが、タイムリープバカバカしい。

 

目の前にあるのは現実。次々と選択肢が現れるが、約76%の確率で不正解。

 

今日も仕事を終え、フラフラと帰宅。

 

疲れ果て、体の寒気と息苦しさを感じ、寝床に入る。無気力感が体を覆い、闇が広がる本当に疲れた。


 

 

目が覚めたら異世界

アニメの見過ぎだ

酸素が足りない、呼吸の仕方すら忘れてしまったようだ意識が遠のいていく