りある異世界RPG〜もう一つの選択肢をクリックしてみる。

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ダンジョン49階層、ボス戦の前に一度街に戻ろうと思います。

現在のステータスを見ておくか。

 

 

第49階層のホワイトドラゴンを倒したにも関わらず、スキルが増えてないな...属性、勲章的なのも無し。

あと、職業が宿屋の人てのもダサいよな。

HPとMPは入院したお陰でかなり回復したようだ。

 

退院当日の朝9:30

 

病室の荷物を整理し、退院手続きを完了させ、退室時間まで窓の外の景色を眺めていた。

 

人が右に現れ、左に消えていく。

 

人が左に現れ、右に流れていく。

 

この場所を離れなければならないという事実に直面し、安堵感と、再び暴力的な日常に戻る不安が入り混じった複雑な心境だった。

 

体力が回復した今だからこそ、一刻も早くこの場所を離れなければならないと強く感じなければ。強制的にでも…

 

担当医が退院後の薬の処方について説明に来た。

お礼を言い、病室を出てエレベーターに向かった。

 

恐らくここに搬送された時に、このエレベーターで搬送されたのだろう。全く記憶にないが…

さて、

↓ボタンを押そうとした時、背後から誰かに呼び止められた。

 

 

入院した初日に担当してくれた看護婦さんのようだった。

「退院ですね。おめでとうございます」と声をかけてくれた。

 

その優しい口調に、入院時の記憶が蘇った。

「ありがとうございます。お世話になりました」

 

僕は軽く頭を下げ、再び↓ボタンを押そうとした時、看護婦さんが僕の手を優しく遮ったのだった…

 

「お待ちしておりました」

 

あっ⁈

 

 

 

とその時、突然。

 

暗闇の中、ゆっくりとタワークレーンで持ち上げられるような感覚、時折、風で揺れる感覚。

エレベーターの上昇感とはまた違う。

しかし、それは確実に正確に僕を運んで行った...

 

第49階層、ここでボス戦突入だ。

 

 

 

 

 

ゴトンッ!

 

どこかに着いたらしい。

 

薄明かりの中、目を開けると、真っ白な壁と窓から差し込む強い光、鼻には酸素、腕に繋がる点滴。

 

やっぱりな...病院だ...

 

窓際に人の影がある…光で顔は見えないが、小柄で丸みの帯びたシルエットは女性だろう…おそらく看護婦さんだ…

 

「おはようございます。お待ちしておりました。1週間もすれば 体調は良くなりますよ」と女性がゆっくりと丁寧に話した。

 

待っていた…?

 

3日後...4日後...

熱は徐々に下がり、呼吸も楽になった。全回復目前だ。仲間達が面会に来た。差し入れもある。

 

・水(2リットル)

・薄い生地Tシャツ

・お菓子

・10000G

 

励ましの言葉に心が温まった。

 

しかし、今までの階層で一番の苦戦した戦いだったんじゃないかな…本当に自分のHPがここまで削られたのは初めてかもしれない。

嫌でも次の階層に進まなければならない。

もう引き返せないよな、今更…

 

 

 

現在、ダンジョン49階層に一人で挑戦中。

特別なスキル無し、都心の宿屋で働いている。

遥か彼方の独身貴族に憧れるも、ほぼ詰み…

 

色々な仲間に助けられ何とかここまで辿り着いたが...

毎回、気付けばボス戦の時は一人だな...

 

去年は心身ともにボロボロになり、何も解決できずに年を跨いだ。全てをリセットしてやり直したいが、タイムリープ…バカバカしい。

 

目の前にあるのは現実。次々と選択肢が現れるが、約76%の確率で不正解。

 

今日も仕事を終え、フラフラと帰宅。

 

疲れ果て、体の寒気と息苦しさを感じ、寝床に入る。無気力感が体を覆い、闇が広がる…本当に疲れた。

 

 

目が覚めたら異世界…

アニメの見過ぎだ…

酸素が足りない、呼吸の仕方すら忘れてしまったようだ…意識が遠のいていく…