どこに向かっていけばいいのだろう

ーどこにも行かなくていいんだよ

このままでいいってこと?

ーここじゃないどこかがあると思っているんだね
 本当にある?

人というのを連続した実体のあるものだととらえていると、
必ず失望したり、裏切られた気になるよ
真相はどうかというとね
そのときそのとき、現れていることがあるだけ
真実と嘘が同居しているのではない
真実のときは本当に真実だけだ
嘘のときは嘘だけだ
それを一人の人、と見るのは概念的な錯覚なんだよ
誰かが怒っていて大騒ぎしていても
どこ吹く風

ここは、さわやかな風が流れている

平穏で静かだ
うきうきしている

ああ、どこかで誰かが怒っている
怒りの毒にあたって、自らを害している

あわれなるかな

こんなにも心楽しく生きることもできるのに

ここには、さわやかな風が流れている

私は風と共に笑っている