多摩ニュータウンの中心部である多摩センターから東京の副都心である新宿までを結んでいる京王線と小田急線。開通してから現在まで、乗降客数では京王線が小田急線を上回る状況が続いています。では、どのような状況になれば小田急線が京王線よりも優位に立てるのかを考えていきます。

※この記事には主観的な考えが一部含まれています。

 

まずは現状から比較していきます。

日中の所要時間

新宿→多摩センター

京王線:30分(特急)

小田急線:40分(急行、新百合ヶ丘から各駅停車)

 

朝ラッシュ時の所要時間

多摩センター→新宿

京王線:42分(特急)

小田急線:39分(通勤急行)

 

運賃

京王線:356円(ICカード)

小田急線:387円(ICカード)

 

運行本数

京王線:9本/h

小田急線:6本/h

 

乗降客数

京王多摩センター:74516人(2022年度)

小田急多摩センター:43358人(2022年度)

 

現状だと、運賃、所要時間において、京王線が優位に立っていることが分かります。朝ラッシュ時の所要時間は小田急線の方が速いですが、定期利用客が多いことを考えると、運賃が高いことにより、乗客が少なくなっているとも考えられます。

 

①日中の所要時間を優位にするには

 

日中の所要時間は現状では10分もの差があります。京王線は座席が全て埋まっているけども、小田急線はガラガラ…なんてこともよくあります。では、どこまで小田急線の所要時間を短くすることができるのかを考えていきます。

 

現在の小田急線の最短所要時間は、新宿駅22時9分発の快速急行の33分最短列車でも京王線の日中の所要時間よりも遅いことが分かります。この列車は新宿→新百合ヶ丘で23分、新百合ヶ丘→多摩センターで10分の所要時間になっていて、快速急行の中でもかなり速い方だということも分かります。そのため、これ以上の短縮はこのままの停車駅だと厳しいのが現状です。しかし、快速急行の停車駅は元々少ないので、減らせる停車駅は2018年に停車駅に追加された登戸駅しかありません。しかも、この駅は南武線との乗換駅なので、乗り換え客には不便が強いられてしまいます。

また、京王線の特急は最近になって、笹塚と千歳烏山が停車駅として追加されているので、再びこの駅が通過になったら更に所要時間が短くなることも考えられます。

そのため、所要時間で京王線より優位に立つことは厳しいのが現状です。

 

②運賃で優位に立つには

 

小田急線の方が大人運賃では30円程度高くなっています。しかし、小田急電鉄では小学生の運賃を一律50円としているので、小学生の運賃は京王線よりも128円安くなっています。そのため、大人4人と小学生1人で利用する場合でも小田急線の方が合計運賃は安くなります。ただ、大人が1人京王線の新宿〜京王多摩センター間の定期券を所持している場合は大人1人と小学生4人で利用しないと合計運賃が安くなりません。そのため、定期券運賃が京王線よりも小田急線のほうが安くなることが重要だと思います(現状だと、一ヶ月通勤定期で小田急のほうが460円高い)。ただ、新宿〜永山では京王線も小田急線も通勤定期は同額になっています。

 

③運行本数で優位に立つには

 

運行本数は京王線が小田急線よりも一時間あたりで3本多くなっています。しかも、京王線が全列車新宿まで行くのに対して、小田急線は半数の列車しか新宿まで行かないので、この点に関してはかなり京王線が優位に立っていることが分かります。それに加えて、多摩センターから新宿に向かう場合、京王線は特急で行くのが一番速いですが、小田急線は急行のため、途中の新百合ヶ丘で快速急行に乗り換える必要があります。そのため、乗り換え案内で調べると乗り換え一回と表示されるので、乗り換えがない京王線を選ぶ人も多いと考えられます。なので、小田急線は最速種別である、快速急行を多摩線に直通させ、多摩線内でも通過運転を行えればいいのかもしれません。しかし、現在多くの快速急行が運行されている小田原線や、江ノ島線と比較すると、駅数や沿線人口が少ないので、その路線と比べると直通させる利点はそこまでないように思えてしまいます。

 

④それぞれの路線に待ち受ける未来を考える

 

まずは、路線自体のこれからの予定を見ていきます。

小田急線は、多摩線の相模原、上溝延伸が計画されています。しかし、その計画はなかなか進んでいないのが現状です。その間に、多摩モノレールの町田延伸の計画はかなり進んでいるので、開通したら、多摩センターから新百合ヶ丘を経由して町田に行く人が多摩モノレールを利用するようになり、利用客が減少することも考えられます。向ヶ丘遊園から新百合ヶ丘の複々線化計画もありますが、これは現状のままでは可能性がほぼ無いです。

一方の京王線では、現在笹塚から仙川間の連続立体交差化の工事が進行中で、これが完成すると、明大前や千歳烏山で交互発着が可能になるので現在小田急線が京王線よりも所要時間が短くなっている、朝ラッシュ時間帯でも京王線のほうが所要時間が短くなることも考えられます。また、2027年以降に開通するリニア中央新幹線は橋本駅に停車するので、それにより京王線の乗客数が増える可能性もあります。

 

次は沿線の未来を考えていきます。

現在日本では、少子高齢化が進行しています。もちろん多摩ニュータウンも例外ではありません。新しいマンションなどがある多摩センターではそこまで進行していませんが、隣駅の永山では団地が多いことにより高齢化が進行していて、一部地区では高齢化率が50%を超えています。この状況のままでは沿線人口が減少することは現実味を帯びてきています。沿線人口が減少し、鉄道の需要が減少すれば、鉄道会社の運営が厳しくなり、減便や短編成化が行われる可能性も否めません。そのため、未来の乗客を増やすために、今のうちから乗客を少しでも増やす取り組みが必要だと思います。

小田急線は小児運賃を一律50円にしました。今後、このような取り組みがそれぞれの路線で行われると、乗客にとっては便利になるかもしれません。

 

⑤まとめ

 

現状だと小田急線が優位に立つのは少し厳しいですが、これからの取り組み次第では一部の面では優位に立てるかもしれません。これからの各社の取り組みにより、沿線が活発化するのに期待したいです。