「鴉~!お友達が来てるわよ~!」
五月蠅いな・・・。今何時だと思ってんだ・・・。って、もう8時か。俺はせっかくの日曜なので、午後までゴロゴロしていようというゴロゴロ計画を母さんに邪魔され、かなりいらだっていた。というか、そもそも8時から人の家に来る奴は誰なんだ・・・。はっきり言って、迷惑だ。
「ふあぁ。眠・・・。」
俺は欠伸をしながら階段を下りた。いつもの日曜なら、まだまだ夢の中にいる時間帯だから、かなりダルい。
「もう、鴉ったら!お友達待ってるわよ!」
「はいはい・・・。」
母さんは朝飯の準備をしに、台所へとスタスタ歩いて行った。
「あ、君が鴉くん!?」
「?・・・あ、あぁ。俺が黒葉鴉だけど・・・。あんた誰?」
俺を訪ねてきたのは、茶髪で背が低い、可愛らしい奴だった。
「僕、白葉からす!野鳥研究会の会長だよ!」
白葉からすとやらはニコニコしながら自己紹介をし、俺に手を差し出してきた。あ、握手しろってことかと思い、俺も手を差し出すと、白葉は俺の手をつかむなり走り出した。
「うおっ!ちょ、お前、何すんだよ!!」
「僕ね、鴉くんをいいところに連れて行ってあげようと思って迎えに行ったんだ!」
「は?いいところって何処だよ!」
「とにかく、ついて来ればわかるって!」
白葉はちょっと振り向いてニコッと笑った。不覚にもその笑顔にドキッとしてしまった自分が憎たらしい。なんで俺が男なんかにドキッとしなくちゃいけないんだ・・・。
「おーい、鴉くーん?聞いてますかー。」
「わっ!あ、あぁ、なんだ?」
白葉はこいつ聞いてなかったなというような顔をし、ハアと小さく溜息をついた。
「目的地についたよ、鴉くん。」
白葉にドキッとしてしまった自分を憎んでいたら、どうやら目的地についたようだ。
「?・・・ここ何処だ?」
俺が白葉に連れてこられたのは、木々の緑が美しい森の中だった。初めてくるところのはずなのに、なぜかとても懐かしく感じる。
「いいところでしょ、ここ。僕のお気に入りの場所なんだ。」
「へー。たしかにいいところだな。」
白葉がここをお気に入りの場所にするのもよくわかる。今は8月中旬と、夏真っ盛りの熱い時期。だけど、ここはとても風通しがよく涼しい。最高の場所じゃないか。
「ここ、懐かしいし、何より涼しいから僕大好きなんだよね!あ、そうそう、鴉くんはお気に入りの場所、ある?会ったら連れて行ってほしいな!」
「はあ?お気に入りの場所かぁ・・・。」
いきなりそんなこと言われてもなあ・・・。俺は考えに考えぬいて、1分後ぐらいにやっと1つの場所が思い浮かんだ。
「あ、そうだ・・・。」
「何?思いついた?」
目をキラキラさせながら俺を見つめてくる白葉。だけど、ここでこの場所を教えたら、あいつがなんていうか・・・。
「いや、思いつかない・・・。ゴメンな、白葉。そろそろ俺帰らないと。母さんが朝飯作って待ってるんだ。という訳で、じゃあな!」
俺は白葉に向かって手を振り、そこを立ち去った。その時の白葉の顔は少し悲しそうに見えた。
