「久しぶりのボンカレー」
久しぶりにボンカレーを食べた。
何年ぶり?いや、もしかしたら何十年ぶりかもしれない。
夫はカレーが大好物。
結婚してから、子どもが生まれてから、カレーだけはずっと手作りを続けてきた。
子どもが小さい頃は、甘口と辛口を二鍋作っていたものだ。
やがて子どもたちも辛口を食べるようになり、成人して家を出て行った。
それでも夫のために、カレーはいつも手作りだった。
そんな夫が「出張で2週間、九州に行く」と言って出かけた。
「帰ってきた時はカレーをよろしく」と笑いながら。
こうして私の“ひとり暮らし”が始まった。
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初日はコンビニでおにぎりとラーメンを買った。
久しぶりのコンビニおにぎりが、思いのほか美味しい。
ラーメンも最高。朝食用にサンドイッチとコーヒー、そしてスイーツまで買い込んだ。
「一人分だから、少しくらい贅沢してもいいよね」と自分に言い聞かせる。
2日目は初めてのUber Eats。
頼んだのは、なんと牛丼(しかも大盛り)。
「学生か?」と自分にツッコミを入れながらも、箸が止まらない。
3日目はマクドナルド。
さすがにこの調子では体を壊しそうで、4日目には豚汁とおにぎりを作った。
豚汁は3日分くらいの量。
「これで十分」と思いながら食べる。
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夫と二人暮らしの時は、毎日の家事が当たり前だった。
ご飯、掃除、洗濯――やらなければ家は回らない。
でも一人になると、驚くほど“やらなくても平気”だ。
ご飯は買ったものや出前、冷蔵庫の残り物でなんとかなる。
そんな気楽な生活が、案外楽しい。
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1週間が過ぎた頃、いつものスーパーに立ち寄った。
「今日は何を食べようか」と考えながら歩いていると、ふとレトルトのコーナーに目が留まる。
カレー、牛丼、親子丼――今は種類が本当に多い。
「こういうのがあれば、息子たちも助かるだろうな」と思いながら眺めていると、懐かしい黄色のパッケージが目に入った。
ボンカレーだ。
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家に帰ってお湯を沸かす。
作り方は昔と変わっていない。
それがなんだか嬉しかった。
「いただきます」
一口食べて、思わず声が出た。
「美味しい!」
あっという間に完食。
子どもの頃の味が、ふっとよみがえる。
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いつもカレーを作るときは半日がかり。
それが、これは5分で完成。
しかも美味しい。
「レトルトなんて」とどこかで見下していた自分が恥ずかしい。
今度は夫にも食べさせてみたい。
きっと驚くだろう。
片付けもお皿とスプーンだけ。
これもまた最高だ。
これからは無理をせず、レトルトの力も借りて生きていこう。
明日は何を食べようか。
またあのレトルトコーナーに行ってみよう。

