LG杯は、プロであれば、誰であれ参加出来る国際棋戦です。
ただ、総合予選は、飛行機代、一週間ほどの宿泊費なども全部自己負担ということもあり、全員参加とはいきません。
その中から、私が個人的に注目していた予選2回戦、李昌鎬九段vs関航太郎二段の一戦を検討しました。

李昌鎬九段は、言わずと知れた「歴史上最高」と名前が挙がる国際大会の優勝回数1位の棋士です。
年齢により全盛期ほどの活躍はしていませんが、それでも韓国国内のランキングで30位ほどは維持しています。

関二段は、ご存知ない方も少なくないかも知れませんが、私が一力八段、虎丸七段と並んで「ポスト井山」と期待している若手棋士です。
NHK杯に初出場するので、ぜひ注目してみてください。
関二段の期待度を表す経歴として、20歳未満の第30回世界大会で、日本人で初めて優勝した逸材です。
この大会は古力九段やパクジョンファン九段など名だたる世界のトップ棋士が優勝、虎丸七段や今年一杯で引退の可能性を明言した李世ドル九段が準優勝しました。
また日中韓台各国代表1名の10代半ばの国際大会でも準優勝するなど、17歳の同世代では、世界トップクラスと言っていいと思います。
 

 


棋譜再生

 

結果として、黒番李昌鎬九段の中押し勝ちとなりましたが、80手の時点では白番関二段がLeelaZeroで75%という優勢でした。

 

 

李昌鎬九段が左上三三に入り、左図の一例に限らず、左下の白から右下からの大きい黒模様を削減すれば勝ちという推奨。

これは絶芸でも同様でした。

それに対して関二段が右上の中手を打ったのが両AIともに評価値を大きく下げました。

李九段はそれに付き合わず左上を連打したのが好判断。

 

 

評価値出しながら中継を見ていた私は、李九段が形勢悪いと思って、右上はソバコウも多いから手抜きをしたのかと思いましたが、プロ試験も受けている方の意見では、関二段のほうが形勢悪いと思って、右上のコウを頑張ったのでは?という意見でした。

そう言われると確かに、損になる中手を打って、コウ材が少ないのにコウに挑むのは関二段が形勢悪いと思った勝負手だったのかも知れません。

李九段は神算とも呼ばれる形勢判断とヨセのうまさが有名なので、関二段の心境では評価値と反対に悪いと感じていたのはありえる話です。

AIは、相手の名前や棋風、気持ち、心境などは評価できませんからね。

 

結果的に、左上を連打し、右上のコウも李九段が勝って、右下も大きくまとめられて投了となりましたが、私は改めて関二段の将来性に期待せずにはいられませんでした。